ダットジャパン、AR技術を用いた遠隔作業支援ツール「どこでも君・修理」の実証実験を開始

現在、新型コロナウィルスにより、対面での業務遂行が困難な状況にあり、ICTやIoTを活用した遠隔支援技術の導入が求められている。また、国内の少子高齢化は深刻な社会問題となっており、厚生労働省の予測によると、労働人口は20年後の2040年に20%減少すると予測されている。労働人口減少をカバーするためには、未経験者や経験の浅い労働者を早い段階から独り立ちさせる事が重要課題となる。課題の実現には、数少ない熟練者が多数の未経験者の指導をする必要が生じ、結果的に1人の熟練者が複数現場の未経験者のサポートを行なわなければならない。そのため、効率的で直接的且つ複数の現場に対応可能な遠隔作業支援技術が求められている。現在の遠隔作業支援は、WEBカメラによるLive映像の共有、音声通話による相互通信が基本的な仕組みとなっており、現場からは物足りないとの意見が多く出されている。ダットジャパン株式会社は、AR技術を活用して遠隔でリアルタイムに作業をアシストするツール「どこでも君・修理(仮称)」の実証実験を、2021年1月より東芝コンシューママーケティング株式会社の現場で開始する。同システムは、ダットジャパンが行っている家電修理向けコールセンター運営により蓄積した顧客の声と作業支援ノウハウを基に、AR技術を利用して独自のカスタマイズを行ったシステムで、簡単に利用できるWEBサービス・クライアントアプリとして提供する。AR表示技術は、ARモデルを「タッチパネルによる操作」「マウスによる操作」「カメラやモーションコントローラーによる操作」でコントロールし、その動作を動画形式に変換を経てインターネット経由で送信し、スマートフォン等の撮影デバイス上に表示する技術である。同技術により、修理手順、点検検査、視点誘導などの指示が遠隔で可能となる。また、遠隔支援を行う場合熟練者による作業支援が不可欠だが、熟練者の数は限られているため支援を行う人材の確保自体も難しい現状がある。そこで、ダットジャパンのAR機能を用いて熟練者による遠隔作業支援を行いつつ、その結果を記録・編集した動画マニュアルを作成・共有する事で、限られた熟練者の技術を利用出来る仕組みを実現した。

システム構成図さらに、これまでのAR技術の多くは、現場Live映像とのキャリブレーション(ARを現実に重ねるための同期処理)を複雑に取り入れている事で、現実的な作業に即さない処理時間となってしまう場合があったが、同システムではAR表現を極限まで抑える事で処理時間の短縮を実現し、作業に最適なUI/UXも実装している。

実際の修理現場での画面共有イメージ同ツールにより、現地作業時間の短縮による出張旅費を低減し、長時間接触が減る事でのコロナ感染リスクの軽減に貢献する。また、経験の浅い作業員や外国人労働者の単独作業が可能となる事での経費を削減する。今回の実証実験では、新型コロナウィルスの影響により「修理技術の教育を遠隔で行いたい」「訪問修理の作業時間を短縮したい」という課題を持つ東芝コンシューママーケティングと連携し、AR技術を用いた遠隔支援システムの構築を目指して実施する。また、支援結果を動画マニュアル化する事により、熟練者の技術・暗黙知を広く共有出来る機能も実現する。

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