「銀座駅」56年ぶりの大改装、光る柱や天井のランドマークなど「視覚」に訴える要素がずらり

改札内には光を放つ柱が何本もそびえる

2020年10月16日(金)、東京メトロ銀座線「銀座駅」「日本橋駅」「京橋駅」「青山一丁目駅」「外苑前駅」のリニューアル工事がほぼ完了し、新しい銀座駅の様子が報道陣に公開されました。

同駅に関しては日比谷線が開業した1964年以来、およそ半世紀ぶりの大改装になります。リニューアル費用は約220億円。一般の利用者が使用できるスペースは全て16日(金)に開放され、後はバックヤードや一部の出入り口を残すのみです。

ライトアップは16日(金)から始まった

東京メトロは2010年代前半からホームドアの整備や新型車両の導入といった銀座線リニューアルプロジェクトを進めており、今回の銀座駅に関しても、駅単体の刷新というよりは「銀座線全線を作り替えていく」流れの中で行われたもの。

銀座線ホーム側壁には銀座という街の移り変わりが描かれる

リニューアルされた銀座駅のデザインコンセプトは『憧れの街』――銀座に漂う「上品さ、優雅さ、高級感」を感じられるように、明るさや洗練さをあわせもった空間を演出したと言います。改札口は銀座線・丸ノ内線・日比谷線のラインカラーに合わせた色でライトアップし、「自分が今どこにいるのか」が視覚的に分かりやすくなりました。

丸ノ内線イメージ:外豪川が流れる銀座
銀座線イメージ:格式ある石造りの銀座
日比谷線イメージ:きらめくモダンな銀座
銀座線の「G」、丸ノ内線の「M」、日比谷線の「H」をそれぞれデザインに取り込んでいる

ちなみに光柱の本数は駅全体で130本あるそうで、内訳は銀座線が57本、丸ノ内線が49本、日比谷線が24本です。

改札内の天井には地上のランドマークが描かれています。縮尺はともかく方向は一致しており、目的地の建物さえ知っていれば自然と目的地へ到達できる仕組みです。本来であれば今年の夏は東京オリンピック/パラリンピックが開催されるはずでしたから、訪日外国人向けに視覚的な分かりやすさを重視したデザインになっているのですね。東京メトロはこの案内表示を「オリエンテーションサイン」と呼称しています。

ランドマークが描かれている方向に進んでいけば目的地にたどり着ける
時間によって色味も変わる 始発~7時と16時~19時(朝/夕)、7時~16時(日中)、19時~終電まで(夜)の3パターン
一部の出口にはランドマークが描かれる

改札外コンコースには世界的なアーティストとして知られる吉岡徳仁氏による「光の結晶」が展示されました。636個のクリスタルガラスをランダムに配置した光の彫刻は「平和を表現できるような作品ができないか」と考えて制作されたそうです。

パブリックアート「光の結晶」 資生堂が寄贈した
吉岡徳仁氏によれば、世界地図を表現したという

出入口は周囲をガラスで覆うことで、銀座の街並みに溶け込むようなデザインへ――といっても先に述べ通り、すべての出入口が新しくなっているわけではありません。銀座駅そのものは工事中もずっと稼働していたわけで、出入口は人の流れに大きな影響が出ないよう、今後も順々に工事して回ります。

2015年6月に決定した銀座駅デザインコンペの最優秀賞を具現化 ラインカラーに合わせたライトアップが行われ、街並みに溶け込むようガラスを採用した

その他にも駅構内に電源コンセント付きのワークスペースが設置されるなど、銀座駅は大きく様変わりしています。銀座に行かれる方はぜひ一度駅構内を歩き回り、新しくなった駅を目で見て体験してみてください。

駅構内にコンセント付きのスペースもあり、テレワークなど新しい働き方にも対応する

文/写真:一橋正浩

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