「もっと重圧のかかる戦いもある」分析のプロが指摘した巨人大江に欠けていた意識

巨人・大江竜聖【写真提供:読売巨人軍】

DeNA佐野の手痛い一発を浴びた巨人3番手の大江

■DeNA 2-1 巨人(16日・横浜)

巨人は16日、敵地でDeNAと対戦し、1-2で逆転負けを喫した。優勝マジックは「8」のままとなった。投手戦で両軍無得点で迎えた8回、巨人・坂本の中犠飛で1点を先制したが、3番手の大江が佐野に被弾するなど、直後に2失点した。勝負のポイントは試合が動いた8回の攻防。長年巨人でスコアラーを務めた分析のプロ・三井康浩氏は大江の1球にこれからの成長を期待した。

DeNAの井納、巨人の今村の2人の先発が完璧な投球で、引き締まった投手戦だった。8回、巨人が2番手のパットンを攻略し、先制。この1点を守り切るため、原監督は中継ぎ陣のカードを切った。1-0の8回、左打者の佐野に対して、マウンドに送られた大江だったが、初球を右翼席へ同点弾を運ばれた。その後、4番手のビエイラも失点し、敗れた。

分析のプロ・三井氏は「点をとってもらった後の回」「ここまで4試合連続本塁打を放っていた相手・佐野の狙い」「捕手の構え」という3つに対する意識が大江に欠けていたのではないかと分析する。

「1点リードの8回に出てきて、長打を打たれてはいけない打者に打たれた。これは制球ミスという言葉では済まされないです。大江くんは、この1人の打者を抑えに出てきているわけですから、この1人を全力で抑えないといけない」

大江もプロだ。それがわかってマウンドに上がっているはず。しかし、三井氏はスコアラーとしてチームをまとめてきた立場から「漠然とストライクを取りにいっていないか。長打を打たれてはいけないという思いを持っていれば、アウトコースいっぱいに、ボール球になってもいいくらいのコースに投げないといけない。それがわかっていても、中にボールが入ってしまったというならば、もはや2軍の投手です」と言い切る。

期待するからこそのゲキ「もっとプレッシャーのかかる戦いもある」

もちろん、今季の大江の奮闘ぶりは見事だ。中継ぎに厚みを持たせてくれたのは大きい。だからこそ、ここでつまずいてほしくない。更なる成長を期待する。

「優勝に向かうチームの中で、大江くんは満点に近い働きをしています。多分ですが、もっと2位のチームと競っている状況であれば、こうはならなかったかもしれません。大江くんもある程度、自分の位置が確立されてきた。その中での投球になってしまったのも(失投した理由に)あるかもしれない」

優勝マジックを順調に減らし、2位に大きく差をつけている展開。緊張はしていただろうが少しだけ、心の隙間があったのかもしれない。だからこそ、こういうセットアッパーを任される若い投手には「絶対に抑える!という覚悟は必ず持ってマウンドに上がってほしい。間違えた!で、済まないシーンがこれからもっと出てくる」と警笛を鳴らす。

例えば、日本シリーズ。今よりも数段、重圧がかかる。三井氏は「今日は大いに反省して、これ以降に日本シリーズなどもっとプレッシャーのかかる戦いもある。しっかり投げ切って欲しいですよね」とこの敗戦を糧にしてもらいたいと願っていた。(Full-Count編集部)

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