スーパーフォーミュラ・ライツ:53歳DRAGONが8年越しの夢を果たす「誇りだと思っています」

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 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第6戦は10月17日、宮城県のスポーツランドSUGOで26周の決勝レースが行われた。予選2番手からスタートした宮田莉朋(カローラ中京 Kuo TOM’S 320)がレースを制したが、5位にはマスタークラス優勝となるDRAGON(TEAM DRAGON SFL)が入った。53歳という年齢での得点で、しかもDRAGONにとっては8年越しの夢を叶える入賞となった。

 DRAGONは1967年1月25日生まれ。本名組田龍司として、屏風浦工業株式会社の代表取締役としての顔をもつ一方、国内でフォーミュラをはじめ、スーパーGTなどさまざまなレースに挑戦を続けるB-MAX Racing Team/B-MAX ENGINEERINGの代表としての顔をもつ。そして自らレーシングドライバー『DRAGON』として、フォーミュラで飽くなき挑戦を続けてきた。

 そんなDRAGONは、これまでもさまざまな“夢”を口にしてきた。B-MAX Racing Teamとしてマカオ制覇を目指すこと、国内トップフォーミュラに出ること、そしてドライバーとしてF3 Nクラス(後にF3-Nに)で勝つこと、チャンピオンを獲ること、そしてマカオGPに自ら出場すること……。そしてその多くを、行動力と精神力で叶えてきた。2017年にはF3-Nのチャンピオンを獲得すると、マカオGP出場も果たしてみせた。

 そして、その情熱が次に見据えていたのが、2020年から全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権と名称が改められたシリーズでの、総合での入賞だ。スーパーフォーミュラ・ライツは6位までドライバーズポイントが与えられるが、DRAGONはマスタークラスでは首位でも、やはり国内トップを目指す若手がひしめくシリーズだけに、そうそう入賞のチャンスは訪れなかった。

 実は、そのチャンスとも言えたのが前戦。第5戦岡山では、DRAGONはマスタークラスを制したものの、自らが誘ったスポット参戦の影山正美を抜くことができず、7位に終わっていたのだ。影山もDRAGONも1967年生まれだが、DRAGONの方が半年ほど年上。レース後、DRAGONは笑顔をみせながらも悔しさを隠せずにいた。

全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第5戦で初優勝を飾った阪口晴南(Buzz Racing with B-MAX)とマスタークラス優勝のDRAGON(TEAM DRAGON SFL)

■「レースはすべて“結果”ですから」

 迎えた第3ラウンドのSUGO。今回、ALBIREX RACING TEAMが1台体制での参戦となり、11台がエントリー。一方、自らのB-MAX RACING TEAMの51号車と52号車は、プロや若手ではなくジェントルマンドライバーの今田信宏と畑享志が乗り込んでいた。マスタークラスとしては台数が増えている状況だった。

 そんななか、DRAGONはウエットとなった予選で7番手を獲得すると、10月17日の第6戦の決勝レースでは名取鉄平(TODA FIGHTEX)がエンジン交換によるグリッド降格となり、DRAGONは6番手からスタートした。この順位を守り切れば目標達成だ。

 しかしDRAGONは、スタートで5番手に浮上すると、入山翔(Albirex-RT)とのバトルを展開。一時はかわされたが、入山のスピンにより5位を奪回するなど攻めのレースをみせ、見事自身初となる5位入賞を果たしてみせた。全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権は、その名のとおり全日本選手権で、そこで初めてポイントを獲得したことになる。

「なんであれ、全日本選手権で“順位”がつくことが目標だったので、ひとつ目標が達成できたことは良かったと思っています」とレース後、DRAGONは笑顔をみせた。「たしかに台数が少ないとか、前がいなくなったとか、いろいろなことはあるかもしれませんけど、レースはすべて“結果”ですから。『そこにいたから』順位がついたと思えばいいと思っています」

「年齢という面でみても、全日本F3選手権、そしてスーパーフォーミュラ・ライツと、僕の年齢で入賞できたドライバーはいないと思いますし、それもひとつの誇りだと思っています。頑張って良かったな、と思っていますね」

DRAGON(TEAM DRAGON SFL)

■『自分の気持ちに負けないこと』が大事

 周囲が驚くほどのタフなトレーニングを積み、そして身体的にも厳しいSFライツで戦い続けるDRAGON。そして今回、彼はまたひとつ『目標』を達成してみせた。「目標がなかったら、やる意味はないですからね。では今度は、もうひとつ上の4位を目指そうというモチベーションをもたないと頑張れないと思っています」とDRAGONは言う。

 筆者含め、世の中の、いわゆる“中年男性”の皆さんならばご理解いただけるかもしれないが、やはり年を重ねれば目標を見つけ、それに向けて努力することに“キツさ”を感じることもある。しかしDRAGONは「自分自身が頑張れる環境を作ることもそうですが、まずは『自分の気持ちに負けないこと』だと思います」と言う。

「“言い訳”を作らないことですね。例えば、今年パワステがつき、すごく助かっているのは事実なんです。でも、昨年までも若いドライバーに負けまいと、若い選手以上にトレーニングをして、常にシーズン中は体脂肪率10パーセントを切る身体を維持しているんです。その上で『なんとかならないか?』と努力してきました」

「常に若いドライバーと戦うことを仮想して、家やジムでトレーニングしていて、本当に苦しいときも『これじゃ勝てないぞ!』と考えるようにしています。そうすると『また頑張ろう!』と思えるんですよね」

 多くのジェントルマンドライバーがそうであるように、DRAGONはモータースポーツという厳しいフィールドで自らを追い込み続けている。次なる目標へ向け、まだまだDRAGONの挑戦は続いていきそうだ。

全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第6戦SUGO マスタークラス表彰台