【大学野球】東海大野球部が部員の大麻使用の疑いで活動停止 高校側や残された部員への懸念

東海大野球部が部員の大麻使用の疑いで無期限の活動停止となった

多くの高いレベルの高校が門を叩く、下級生にも注目選手多数も進路に影響

大学野球界に激震が走った。東海大は17日午後、神奈川・平塚市の湘南校舎で、山田清志学長と伊藤栄治硬式野球部長らが記者会見を行った。硬式野球部の寮内で、複数の部員による大麻の疑いがある薬物の使用が発覚。山田学長は「心よりおわび申し上げる」と謝罪し、同部を無期限の活動停止としたと発表した。

前日16日、寮に家宅捜索が入り、部員の調査も行っている。今後捜査に協力するという。現在、捜査中だが複数名が聞き取りで使用を認めている。

東海大は首都大学リーグの1部に所属。今秋は日体大に優勝を譲るも、ドラフト候補や3年生以下も好素材が揃い、戦力は充実している。プロを目指す選手も多くいる。この日、予定されていたリーグ戦の5日目・武蔵大戦は雨天中止になったが、首都大学リーグは東海大の出場辞退を発表。第7日目は対戦相手の武蔵大の不戦勝となった。

今年は新型コロナウイルスの感染拡大で春の首都大学リーグが中止。それぞれ部員は一度、帰省し、事態の収束を待った。選手たちは個人練習を続ける期間が長くあった。秋のリーグ戦開幕の目処が立ち、全体練習を再開。グラウンドでみんなで野球をやれる喜びを感じていたばかりだった。真夏のグラウンドでは活気があふれていた。

東海大は社会人野球の名門・ホンダで指揮を執っていた安藤強監督を17年に招聘、18年春は5季ぶり優勝

東海大は社会人野球の名門・ホンダで指揮を執っていた安藤強監督を2017年に招聘し、2018年春のリーグ戦で5季ぶり優勝。強い東海大を復活させた。都市対抗優勝、社会人侍ジャパンの監督を務めた経験もある。今年のリーグ戦開幕時には「我慢を乗り越えて、ワンランクも、ツーランクも成長して(帰省先から)戻ってきた選手もいる」と、学びの時間に充てていた選手を称えていたことが印象的だった。

多くのプロ野球選手を育てただけでなく、人間育成にも定評のある安藤監督は、まだ子供と大人の間に位置する大学生を野球を通じ、教育をしていたところだった。社会人野球の選手のように大人扱いをするかどうかの線引きは難しかったかもしれない。安藤監督から高い野球観を学ぶことができる環境にありながら、このような事態となり、無期限の活動停止になってしまったことは、残念でならない。

活動停止で懸念されるのが、これまでも多くのプロ野球選手を輩出している同校への高校からの受け入れ、関わっていない選手たちの活動。教え子を送り出す高校側にも不安は残る。大学にはすでにスカウトから視線を浴びる好選手もおり、公式戦など高いレベルで試合が行えないことは、成長に大きく関わってくるだろう。潔白な3.4年生の就職にも大きく影響を及ぼすだろう。活動自粛が明けたとしても、1部リーグに残れるとも限らない。それなりの対処はされるだろう。今後は学校や野球部の責任問題に発展していくことも考えられるが、残された未来ある選手たちのことを考えた決断になることを祈りたい。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2