【大学野球】東北福祉大が5季連続の優勝 ドラフト候補の元山がV打「無敗で優勝できて嬉しい」

胴上げされる東北福祉大学・元山飛優【写真:高橋昌江】

大塚監督「今年は全国大会がない中、よく最後まで諦めずに頑張った」

仙台六大学の秋季リーグ戦で東北福祉大が5季連続73度目の優勝を飾った。最終節1日目の17日、仙台大に9-4で勝利。4-4のタイブレークの延長10回、ドラフト候補の元山飛優主将(4年、佐久長聖)が勝ち越し打。さらに生沼涼外野手(4年、飛龍)が右翼席へ満塁本塁打を放ち、突き放した。東北福祉大は今月24日から行われる「令和2年度東北地区大学野球王座決定戦」(弘前市・はるか夢球場)に出場する。

今季は従来の勝ち点制ではなく、全10試合の勝率制で行われた仙台六大学。仙台大が7勝1敗で最終節を迎えたため、8戦全勝の東北福祉大が1日目で勝利を挙げると優勝が決まる試合だった。どちらも譲らず、4-4で延長へ。10回、東北福祉大が5点を奪うと、その裏をゼロで締めてゲームセット。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で春季リーグ戦が中止となっており、元山主将は「春の分と秋の分のリーグ戦だと思っていたので、無敗で優勝できて嬉しい。指導者に勝たせてもらったリーグ戦です」と喜んだ。今リーグ戦中には明治神宮大会の中止も決まり、春秋と全国舞台が消滅。大塚光二監督は「うちは日本一になることが毎年の目標。今年は全国大会がない中、よく最後まで諦めずに頑張ったと思う。選手たちに感謝です」と称えた。

ショートを守る元山主将は今月26日のドラフト会議で指名が有力視されるドラフト候補。「守備は即プロで通用する」との評価を受ける。この日、球場には11球団36人のスカウト、球団関係者が視察に訪れた。1打席目は左飛、2打席目は三飛、3打席目は死球とバットでアピールできていなかったが、3-4の7回、2死二塁で右前に同点打を放った。

満塁弾の生沼「ここしかないと思った。自分でも鳥肌が立ちました」

これで4-4となり、タイブレークの延長10回に突入。東北福祉大は9回の攻撃が2番打者で終わっていたため、無死一、二塁で3番・元山主将が打席に入った。バントの仕草を見せる中、仙台大の先発・長久保滉成(2年・弘前学院聖愛)は2回連続で二塁へけん制。続けて3回目のけん制をしたが、セカンドベースには二塁手も遊撃手も入っておらず、ボールはセンターへ転々。二塁走者は三塁に進んだ。「こういうホシのもとに生まれてきたのかなと思いました」と元山主将。初球の変化球をとらえると、打球は前進守備の野手の間を抜けて右前へ。状況が変わったことで決勝打につなげた。

5-4と勝ち越し、なおも2死満塁で7番・生沼が右翼にグランドスラム。「リーグ戦前半は打てず、チームに迷惑をかけたので、ここしかないと思った。自分でも鳥肌が立ちました」と声を弾ませた。二塁走者だった元山主将も「仲がいいので、ホームランが入った瞬間、鳥肌が立ちました」と感激。9-4とリードを広げたその裏を最速153キロ右腕・椋木蓮(3年、高川学園)がゼロで締めると、元山主将は真っ先にマウンドに駆け寄り、胴上げ投手に抱きついた。

同じくドラフト候補の山野太一投手(4年、高川学園)の黒星も消した。先発し、7回まで投げた山野は1年春からリーグ戦に登板。4年間で22勝無敗と一度もリーグ戦で負けたことがない。この日、東北福祉大は0対1の5回に3点を奪って逆転。ところが、山野は自己最速を更新する150キロをマークするも直後に3失点。1点リードを許していた7回に元山主将が同点にし、初黒星の危機から救った。

18日にはリーグ戦のラストゲームがあり、来週には東北No.1を決める戦いがある。「まず、明日もしっかり勝つ。(東北王座決定戦も)優勝しないと楽しく終われないので、優勝する気持ちを持って臨みたいです」と元山主将。学生野球の集大成へ、10戦全勝で弾みをつける。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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