まず電話「新しい受診の仕方」を コロナとインフル、同時流行に備え 長崎県内 緊急事態宣言から半年

新しい相談・受診・検査の流れ

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国に拡大されて半年が過ぎた。長崎県は宣言解除後も感染拡大に伴い、検査能力や患者の受け入れ病床、軽症者ら向け宿泊療養施設を拡充してきた。冬の新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備え、発熱患者が近くの医療機関に電話で相談し、受診や検査ができる体制の整備を進めている。

 政府による緊急事態宣言は4月7日に東京、大阪など7都府県に発令。同16日に全国に拡大された。県内では3~4月に17人、7~10月に225人の計242人(17日現在)の感染を確認し、3人が亡くなった。
 当初、1日最大80件だった検査能力は現在、同1200件。県は来年1月初旬までに同2500件に増やす。入院患者はピークを286人と推計し、病床を395床確保している。
 無症状や軽症者を受け入れる宿泊療養施設は323室確保し、県内8医療圏全ての療養体制を整えた。
 一方、県医師会は地域のかかりつけ医で検査が受けられる体制整備を進め、同会所属の約1130施設のうち、約2割の医療機関で検査可能になっている。
 インフルと新型コロナが同時流行した場合、発熱患者をどう区別し、感染拡大を防ぐのか。厚生労働省は9月、まず近くの医療機関に電話で相談するよう手続きを変更。都道府県に10月中に体制を整えるよう通知した。県と県医師会が準備を急いでいる。
 現在は保健所などに設置された「帰国者・接触者相談センター」が電話、ファクスで相談を受けているが、新たに地域の医療機関を相談、診療、検査まで対応する「診療・検査医療機関」に指定する。
 発熱などの症状がある人は、かかりつけ医や最寄りの診療所などに電話して、そこが県の指定を受けていなければ、別の医療機関を紹介してもらう。帰国者・接触者相談センターは「受診・相談センター」に衣替えし、どこに相談していいか分からない人に医療機関を紹介する。
 県医師会の森崎正幸会長は「まず電話で相談する『新しい受診の仕方』を心掛けてほしい。受診の際は自分も周囲の人も守れるようにマスクを必ず着けてほしい」と呼び掛ける。
 指定医療機関はコロナ患者と一般患者の動線や診療時間を分けるなど、感染防止策が必要になる。ただ、小さな医療機関では対策が困難な上、院内感染や風評被害を懸念する声もある。
 県医療政策課は「丁寧に役割を説明して、より多くの医療機関に届け出てもらいたい。発熱者がどこに行けばいいか迷わないように体制を整備したい」としている。


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