中曽根氏合同葬 功績理解も疑問の声 弔意要請、公費使途で長崎県民

半旗が掲げられた長崎大=長崎市文教町

 17日に営まれた故中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬。県民からは功績を評価する声と同時に、全国の国立大などに弔意表明を求めた文部科学省への批判や、新型コロナウイルス禍における公費の使い方を疑問視する声も上がった。

 長崎市の長崎大文教キャンパスでは半旗が掲げられた。「国の思想を学生に押しつけられているような気がする」。同大3年の男子学生(20)は文科省の通知を批判的に受け止めた。弔意を表すことに反対ではないが「圧力的にやるのは正直いかがなものか。大学は日本を背負う人材を育成する教育機関。国の圧力に傾くのは良くない」と話す。
 島原市有明町大三東の保育士の女性(39)も「国の求めに応じ、なぜ教育機関が弔意を出さなければいけないのか。はなはだ疑問」と首をかしげた。
 「国鉄民営化などを難しいと言われながらも実現した。長年国のために働いた人で(合同葬を営むことは)一定は理解できる」。五島市増田町の無職、北川正治さん(75)は元首相の功績をそう評価した。一方で、新型コロナ禍で生活に困窮する人がいるという現状を指摘。「合同葬の規模や経費の軽減について(政府は)十分に考えたのだろうか」と疑問を投げ掛けた。
 佐世保市の主婦(35)も「立場があった人なので」と合同葬自体は否定しない。ただ、新型コロナの影響で医療従事者がボーナスをカットされたり、生活に支障が出ていたりする人たちのことをよく耳にする。「(同じ国のお金を使うのなら)どちらかと言えばそういう人たちのために使ってほしい」と注文を付けた。

© 株式会社長崎新聞社