街の飲食店「もう瀬戸際」 熊本県内、またコロナ特別警報

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長引くコロナ禍で、週末の夜でもにぎわいが戻らない西銀座通り=16日午後6時ごろ、熊本市中央区
居酒屋「天草海士宴」のカウンターで客を待つ女将の稲尾逸子さん。「週末でも常連が数組だけの日も多い」という

 「もう瀬戸際だ」「年を越えられるか」-。熊本県内で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、県は14日、感染リスクレベルを再び最上位の「レベル4(特別警報)」に引き上げた。熊本市の中心街では、先行きが見えない中、飲食店主らが歯を食いしばって営業を続行。一部に閉店の動きも出始めた。

 16日午後8時すぎ、同市中央区の下通アーケード。金曜の夜だが、人通りは少ない。「緊急事態宣言」直後の5月よりましだが、以前のにぎわいには到底及ばない。通り沿いの居酒屋や焼き鳥店は空席が目立つ。

 海鮮が人気の「天草海士宴[かいしえん]」(同区花畑町)の同日の予約は常連2組のみ。女将[おかみ]の稲尾逸子さん(63)は「客足は通常の3~4割が常態化した」。政府が最大200万円を支給する持続化給付金や家賃支援給付金を活用。「給付金がなければ店を畳むつもりだった。今でも“首の皮一枚”のぎりぎりの状況」と漏らす。

 県は今回の特別警報で「外出自粛」や「休業」は要請していない。その上で、県と熊本市は感染防止対策を実践する店の利用を呼び掛けているが、客足はなかなか戻らない。

 稲尾さんは政府の「GoToキャンペーン」に期待していたが、特別警報で「県外客は来ないでしょう」。忘年会シーズンも期待できず、「とにかく今は耐えるしかない」と表情は険しい。

 周辺では、空き店舗も目立つ。初夏ごろまでは全国チェーンのドラッグストアや紳士服店、ギョーザ屋、地場のうどん店、居酒屋だったテナントにシャッターが下り、入居募集の張り紙があった。

 馬肉料理店「馬桜」(同区下通1丁目)は系列4店舗のうち銀座通りの「熊本馬肉横丁」を閉じた。4月から休業し、「第1波」が落ち着いた7月に再開したが、客足は半分以下。再びの感染拡大に、家賃や経費の負担を考えたという。店長の大塚健生さん(35)は「縮小するしかなかった。コロナ禍が収まればまた再開したいが…」と唇をかむ。

 市中心部のテナント約800件の仲介や管理を手掛ける「美創」では5~6月、例年の2倍以上の約50件が退去した。「大規模なチェーン店の撤退や、繁華街から家賃の安い郊外に移転する店舗もある」という。市中心部のテナントは退去の3カ月程前に貸主に通告する契約が一般的。約1千件を扱う「光輝不動産」も「年末を乗り越えられるかどうか、という深刻な相談が多く、今後退去が増える恐れがある」と話す。

 下通繁栄会は「どの店舗も今が瀬戸際。コロナ禍がさらに長引けば、維持できない店が多い」と焦りを募らせる。(堀江利雅)