神戸名物の“山麓電飾”眺望守った? 三宮「新阪急ビル」の高さは偶然にも…

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神戸市役所から見た建設中の駅ビル。建物の少し上に山麓電飾が見える=神戸市中央区

 神戸・三宮ですらりとしたデザインが目を引く「神戸阪急ビル(仮称)」の完成形が見えてきた。来春オープンの高層建物を街並みとともに撮影するため、神戸市役所24階の展望ロビーから眺めた時、ふとあることが気になった。ビルの高さは山に見える「KOBE」や北前船の電飾と重ならないように配慮したのではないか-。(秋山亮太)

 神戸三宮駅で建て替え工事が進む同ビルは地下3階、地上29階建ての高さ約120メートル。低層部に商業施設、中層部にオフィス、高層部にはホテルが入り、最上階は展望フロアとなる。低層部は外壁にれんが調タイルを用い、大きなアーチ状の窓を設けるなどし、1936(昭和11)年に完成し、阪神・淡路大震災で被災したかつての駅ビル(高さ約26メートル)の特徴を受け継ぐ。

 一方、神戸の夜のランドマークとして親しまれている「山麓電飾」は六甲山系に3カ所あり、西から錨(いかり)、市章のデザインが続き、東端は北前船の図柄2種と「KOBE」の文字が時間ごとに夕闇に浮かぶ。

 市役所から北を眺めると、東端の電飾が建設中の同ビルのすぐ上に位置している。まるでビルで隠れないように、ぎりぎり避けたようにも見える。

 市役所からの眺望を確保するため-。そんな答えを期待して阪急電鉄に尋ねてみると、回答は「景観には配慮しましたが、それは偶然です」。

 同社によると、ビルは景観法に基づく市の景観計画区域内にある。そのため神戸・ポートアイランドのポーアイしおさい公園からの眺めを基準にした市の「眺望景観形成誘導基準」に沿い、山並みの稜線(りょうせん)を隠さないような高さが求められる。この基準に照らすと、JR三ノ宮駅付近の建築物の高さは最大で160メートル程度だが、同社はビルの使い勝手や全体のバランスなどから120メートルの高さにしたという。

 偶然にも確保された電飾の眺望だが、同ビルの高さは結果的に1月の神戸の景観も残すことになる。

 東端の電飾は毎年、阪神・淡路大震災の発生した1月17日が近づくと、「KOBE」とともに「1.17」の数字がともされ、「あの日」が近づいたことを市民らに知らせる。同ビルが今の120メートルより高ければ、1月の電飾を目にする場所は大幅に減ったかもしれない。

 震災から25年が過ぎ、再整備が進む三宮のまち。そんなことを考えながら、地震で姿を消した旧建物と同じ場所に建つ新しいビルの姿を写真に収めた。