「空気の読みすぎ」はNG、1万人ジャッジの“転職の鬼”が惹きつけられる人材

コロナ禍の影響で、転職市場は求人数ダウンの応募数アップ。つまり、転職希望者側の競争が激しい時代に突入しました。そんな中、転職を成功させるには、どのような行動を取っていけばよいのでしょうか? 6度の転職を成功させ、採用者としても1万人以上の応募者をジャッジしてきた「転職の鬼」、早川勝さんの著書『転職の鬼100則』(明日香出版社)から、抜粋して紹介します。


配慮はする一方、「自分の空気」を作る

会社訪問や面接の場面において、いや、人生のいついかなる場面においても、「空気」は読まないほうがいい。
当然ながら、企業側すべての窓口担当者への繊細な目配り気配り心配りが大事であることはいうまでもないことだし、常識あるビジネスパーソンとしても、ある一定の配慮は必要不可欠である。

とはいえ、「空気が読めない奴」と思われないようにと、挙動不審なほどに縮こまり、自分を殺しすぎるのは逆効果であろう。
なぜなら、その場の空気に合わせようとすればするほど緊張し、自分の「持ち味」を発揮することができないからだ。空気を読もうとするほど”存在感”を失うのである。

「いつからそこにいたの?」「あれ、まだいたの?」「ところで、あんた誰だっけ?」と、幽霊を見るような目つきで、悪気のない言葉を浴びせられるのだ。

人間として生まれてきて、これほど、寂しいことがあるだろうか。
空気は自らがつくり出し、相手が複数名であろうとも、面接中のイニシアティブを握らなければならない。そもそも、人生を賭けてアピールしなければならない面接の場面で、自分の存在を殺して、いったいどうするのか。

企業が嫌う人材ベスト3とは、「消極的な指示待ち人間」「人間関係になじめない不気味キャラ」「没個性のマニュアル君」である。

だからどうか、その場の空気をつくり出すのは、常に「自分自身」であってほしい。もうとにかく、自分、自分、自分でいい。思いきって空気を壊し、厚かましい方向へ舵を切ることである。

それは、リスクのとれる「リーダーシップ」といい換えてもいいだろう。控え目な優等生が多い昨今、組織では、未来を担うリーダー候補生を求めているのだ。だから、自ら率先して空気をつくってくれる人物の魅力に、面接官は惹きつけられるのである。

老婆心ながら、もう一度いう。過度な配慮はいらないし、空気を読んではいけない。「空気を変える男(女)」と呼ばれたら合格だ。
一度しかない人生、おいしい空気を吸って、生きていこうではないか。

「発展途上のあなた」には?

もし、自分に対してまったく自信がなく、ブレブレの段階であったとしたなら、ここでいったん「自分らしく」は忘れてほしい。
発展途上のあなたが、現段階でその才能を発揮できなかったとしても、焦ることはない。
あなたは潜在能力の塊、伸びしろだらけのはずだ。「伸びしろしかない」と“自慢”してもいいくらいである。

そんなまだ実力が開花していない、何の実績もない、たいした功績もない、そんなあなたを“青田買い”してくれというのだから、ずうずうしい話だ。それを採用担当者にアピールするのは困難だろう。

ではどうすればいいのか。そう、答えは簡単だ、演じればいい。
たしかに、嘘はいけないが、あなたがなりたい自分、あなたが目指すべき姿、「未来のあなた」を先走って演じることは、はたして〝嘘〟といえるだろうか。来るべき未来のあなたの姿を今から演じ続けることさえできれば、それはあながち〝嘘〟とはいえなくなるのではないか。だから、ハッタリをかます大ボラ吹き、大いにけっこう。さしずめ“転職版フェイク・イット”ということになるだろう。フェイクとは、ニセモノのことである。

この「フェイク・イット」というフレーズは、かつて自己啓発の世界で一世を風靡した流行語だ。これを転職の舞台で活かさない手はないだろう。理想とする姿をとことん演じて演じて演じ続けることさえできれば、いずれ我に返ったときには、「本物の姿」となっているのである。

よって採用した企業はだまされていないし、損もしていない。
であるなら、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞並みの演技力で、すべての人を上手にだましてあげてほしいものだ。

無理やりに、「私はできる」「僕はすごい」と暗示をかけても、うまくいかない。むしろ、潜在意識に「いや違う、そんなことはない」と抵抗され、逆効果になってしまう。そんなに簡単に自分自身をコントロールできるくらいなら、はじめから苦労はしないだろう。

だからこそ、本物を演じきり、潜在意識を効果的にだまし続けなければならない。未来とは、嘘から出たまことだ。嘘の連続が未来を創るのである。

早川勝 著(明日香出版社)

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