ベスト・デス・メタル・バンド20:歪んだギター、怒涛のビート、喉の限りに唸る声

さまざまなスタイルの音楽がそうであるように、デス・メタルもこの数十年で劇的に変化を遂げてきた。しかし、テクニカル・デス・メタルであれ、ブラッケンド・デス・メタルであれ、またはメロディック・デス・メタルやデスコアであれ、根っこにある要素は何ら変わらない。

ヴェノムのブラック・メタル、スレイヤーのスラッシュ、セルティック・フロストのエクストリーム・メタルなど、パンク・ロック的なアティチュードとスプラッターなイメージが一体となって1980年代に誕生したデス・メタルは、以降も常に成長をし続けてきた。

というわけで、彼らの歪んだダウンチューニングの歪んだギター、怒涛のビート、そして喉の限りに唸る声がたまらない、最強のデス・メタル・バンド20組をここで紹介しよう。

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20位 : ザイ・アート・イズ・マーダー / Thy Art Is Murder 

オーストラリアのシドニーから現れたグループ、ザイ・アート・イズ・マーダーは2006年に結成された、デス・メタルというジャンルでは比較的新しいグループだ。ディキャピテイテッド、ゴジラ、そしてベヒーモスなど新し目のジャンルからの影響を受けたというのも当然だろう。彼らはその過激なデスコアを母国でヒットさせて世界中でコンサート・ツアーを行っており、デス・メタルの勢いが今なお衰えていないという事実を証明している。

 

19位 : ザ・ブラック・ダリア・マーダー / The Black Dahlia Murder

「デス・メタルらしくない」との批判を受けることも多い、ミシガン州出身のザ・ブラック・ダリア・マーダーだが、やはりデス・メタルの影響下にあるグループであり、押さえるべきところはすべて押さえている。彼らのメロディックなデス・メタルは、カーカスやモービッド・エンジェルのようなバンドに代表される伝統的なデス・メタル・バンドのそれと共通する。ザ・ブラック・ダリア・マーダーはまた、現代で最も多作なデス・メタルバンドのひとつでもある。

 

18位 : ディキャピテイテッド / Decapitated

ポーランドの出身のグループ、ディキャピテイテッドは、ギタリストで中心的ソングライターのヴァツワフ・”ヴォグ”・キウティカとヴァツワフの弟でドラマーのヴィトルド・”ヴィテク”・キウティカを中心に、まだ彼らが10代だった1996年に結成されている。バンドは、ヴィテクを2007年11月のツアー・バスの事故で失うという悲劇に見舞われているが、ヴォグは悲しみから立ち直った後、2009年にバンドを再結成した。彼らの作品はテクニカル・デス・メタルの筆頭に挙げられるもので、21世紀で最も重要な作品に数えられている。

 

17位 : エントゥームド / Entombed

スウェーデンはストックホルム出身のグループ、エントゥームドは、ガレージ・ロックの影響をそのサウンドに取り入れ、1993年の彼らの名作『Wolverine Blues』に代表されるようなデス・メタルの新しいジャンル、”デス・エン・ロール (Death ‘n’ roll)”を開拓した。近年ではその影響はブラック・ブレスやトラップ・ゼムといったグループのサウンドにも及んでいる。

 

16位 : ボルト・スロワー / Bolt Thrower

イングランドはコヴェントリーで生まれたグループ、ボルト・スロワーは、ラジオ1の伝説的DJジョン・ピールが彼らのセカンド・デモのコピーを受け取ったことで注目を集めた。18年間で8枚のアルバムをリリースし、おそらくデス・メタル・シーンでは最も息の長いバンドのひとつであったが、2015年にドラマーのマーティン・カーンズが急逝し、ついに解散という結末を迎えている。

 

15位 : アモン・アマース / Amon Amarth

アモン・アマースは1992年にスウェーデンのトゥンバで結成されたメロディック・デス・メタル・バンド。2008年に7枚目のアルバム『Twilight Of The Thunder God』をリリースし、それを機に、メインストリームのメディアから注目を集めるようになった。北欧色の濃い彼らのメタルはヘヴィーな音楽を愛する世界中のファンから現在も根強く支持されている。

 

14位 : ヴェイダー / Vader 

ポーランドのメタラー、ヴェイダーが結成されたのは1983年のことだったが、デビュー・アルバム『The Ultimate Incantation』をリリースしたのはそれから9年が経過した1992年のことだった。ヘヴィ・メタル、スラッシュ・メタル、スピード・メタルを経てデス・メタル・サウンドに落ち着いた彼らは、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのメンバー、ジョシュ・オムに “デス・メタルのイーグルス”と評されたこともある。そして、バンドがひとつ誕生したのだ。

 

13位 : オートプシー / Autopsy 

カリフォルニアのベイエリアで結成されたオートプシーは、デス・メタルをその陰鬱な深みへと導く上で非常に大きな影響力を持っていた。ディーサイド、ゴアフェスト、カンニバル・コープス、エントゥームドといった、彼らとは系統の異なる大物グループたちにも影響を与えた。わけてもオートプシーのセカンド・アルバム『Mental Funeral』は特に影響力の強い作品として知られている。

 

12位 : ナイル / Nile 

ノースカロライナ州グリーンビル出身のナイルは、古代エジプトにインスパイアされたテーマで中東の神秘主義をデス・メタルに持ち込む。中心人物のカール・サンダースは、非常に入れ替わりの激しいサポート・ミュージシャンのラインナップを率いているが、1993年以来一貫して暴力的なテクニカル・デス・メタルを世に送り続けている。

 

11位 : ゴジラ / Gojira

フランス出身のメタル・グループ、ゴジラは、デス・メタルのジャンルにプログレッシブなひねりを加えながら21世紀に向けてアップデートしてきた。しかし、初期のデス・メタル・バンドの血生臭いテーマとは対照的に、彼らは故郷のバイヨンヌを取り巻く美しい景色に触発された精神性や環境主義をテーマにしている。

 

10位 : ベヒーモス / Behemoth

フロントマンのネルガルは自分のバンドのイメージが固定されるのを嫌がるだろうが、ポーランド出身のベヒーモスは、ブラック・メタルのルーツからデス・メタル的なサウンドに接近してきている。2007年にネルガルが聖書を引き裂いたことで刑事告発されており、以降ベヒーモスはポーランドの都市ポズナンでのライヴを禁止されている。

 

9位 : アット・ザ・ゲイツ / At The Gates

スウェーデンのアット・ザ・ゲイツは1990年代初頭にデス・メタルをより親しみやすい方向に持っていき、彼ら固有の”ヨーテボリ・サウンド”を生み出した。1995年にリリースされたアット・ザ・ゲイツの代表作『Slaughter Of The Soul』はスウェーデン・グラミー賞にノミネートされ、アルバムのリード・トラック「Blinded By Fear」はMTVのプログラム”Headbangers Ball”でヘビーローテーションの対象に選ばれている。

 

8位 : カーカス / Carcass

グラインドコアをルーツとするリバプール出身のカーカスは、1989年にセカンド・アルバム『Symphonies Of Sickness』をリリースし、よりデス・メタル的なサウンドを追求した。そして、1993年にリリースした4枚目のアルバム『Heartwork』でメジャーのコロンビア/ソニーの注目を得る。しかし、バンドとレーベルとの間の緊張関係が原因で、このアルバムがリリースされる前にグループは解散してしまった。2007年に再結成している。

 

7位 : サフォケイション / Suffocation

ニューヨークのロングアイランド出身のサフォケイションは、90年代のデス・メタル・ムーブメントを率先したバンドだ。デビュー・アルバム『Effigy Of The Forgotten』は、フロリダ州タンパにあるデス・メタルのメッカであるモリサウンド・スタジオでレコーディングされている。プロデュースしたスコット・バーンズは、当時デス・メタル・サウンドの第一人者だった。

 

6位 : ポゼスト / Possessed

80年代後半から90年代前半にかけてのデス・メタル天国はと言えばフロリダだったかもしれないが、このジャンルはサンフランシスコのベイエリアから登場したポゼストから始まったものだ。最初のデス・メタル・バンドとして大評判を呼んだ彼らは、解散するまでに『Seven Churches』(1985) と『Beyond The Gates』(1986)の2枚のアルバムをリリースし、その後は2019年に3枚目のアルバム『Revelations Of Oblivion』をリリースしている。

 

5位 : ディーサイド / Deicide 

ディーサイドはおそらくデス・メタルで最も悪名高いバンドで、反キリスト教的なメッセージを掲げる歌詞が多く事ある毎に論争の種になった。フロントマンのグレン・ベントンは額に逆十字架の焼印があることで有名で、かつて”反キリスト”の姿勢を表明すべく「33歳で自殺する」と公言したことがある。(2020年10月現在、53歳で存命)

 

4位 : モービッド・エンジェル / Morbid Angel

1983年に結成のモービッド・エンジェルによる最初の4枚のアルバム『Altars Of Madness』 (1989) 、『Blessed Are The Sick』 (1991) 、『Covenant』 (1993) 、『Domination』 (1995) は、当時も今も変わることなく、デス・メタルの古典として支持されている。彼らがワーナー系列のレーベル、ジャイアント・レコードと契約を交わしたことで、このジャンルがメインストリームにのし上がる道が切り拓かれた。

 

3位 : オビチュアリー / Obituary 

フロリダは80年代のデス・メタルの本拠地で、デスがシーンの先駆であったとすればタンパ出身のオビチュアリーはそれをより多くのオーディエンスに広めたバンドだ。1992年に彼らがリリースしたアルバム『The End Complete』は、全世界で約25万枚のセールスを記録して史上最も売れた純正デス・メタル・アルバムとされている。

 

2位 : カンニバル・コープス / Cannibal Corpse 

カンニバル・コープスのイメージは掛け値なしに圧倒的だ。1990年のデビュー・アルバム『Eaten Back To Life』から『Butchered At Birth』、『Tomb Of The Mutilated』、そして2017年の『Red Before Black』まで、彼らは200万枚に達するセールスを記録しており、デス・メタルの中でも最も売れたバンドとなった。

 

1位 : デス / Death

デス・メタルというジャンルのパイオニアとされているのがフロリダ州オーランドのメタラー、デスで、1987年のデビュー・アルバム『Scream Bloody Gore』はシーンの先駆作とみなされている。中心人物のチャック・シュルディナーは2001年に34歳でこの世を去ったが、彼はジャンル全体に影響を与えた遺産を残したのだ。

Written By Caren Gibson

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