大手民鉄は収束に向かう 中小鉄道は苦境続く 国土交通省の「新型コロナウイルス感染症による関係業界への影響」8月末集計

出勤風景イメージ 写真:ひでと / PIXTA

国土交通省が月次データとして公表する、「新型コロナウイルス感染症による関係業界への影響」で2020年8月末分の調査結果がまとまり、鉄道関係では「(8月の旅客数が)前年同月に比べ50%以上減少した」の回答が大手民鉄ゼロ、公営13%、中小民鉄18%だった。大手は7月に続く2カ月連続のゼロで、順調に回復しているとみられるのに対し、公営は7月の10%、中小民鉄は同じく15%からいずれも3ポイント悪化。夏休みの8月は観光客の多いシーズンで、観光需要に頼る割合の高い中小が影響を受けたとみられる。

JR旅客6社は、新幹線と瀬戸大橋線の輸送人員を前年同月と比較した。北海道新幹線77%減、東北・上越・北陸新幹線74%減、東海道新幹線75%減、山陽新幹線75%減、瀬戸大橋線63%減、九州新幹線66%減で、偶然ながら九州や四国の新幹線、在来線の落ち込みが小さいのが特徴。

鉄道以外では、高速バスの8月の輸送人員は前年同月比67.6%減、一般路線バスは同26.7%減で、いずれも前月の7月より悪化。特に一般路線バスは運送収入が前年同月比30%以上減少した事業者が7月32%、8月46%と、依然厳しい状況が続く。

航空は大手、中堅、LCC(格安航空会社)の集計で、国内線輸送人員は8月70%減、9月見込み75%減、国際線は8月97%減、9月見込み96%減で非常に厳しい数字。航空業界では、最近のニュースで全日本空輸(ANA)が人件費削減を組合側に提案したことが判明し苦境を際立たせている。

文:上里夏生

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