音楽の力(10月19日)

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 〈♪夜明けの来ない夜は無いさ〉。松田聖子さんの代表曲「瑠璃[るり]色の地球」の一節だ。三十四年前に出したアルバムに入っている。大切な人やかけがえのない地球を守りたいとの思いを、壮大なスケールで表現した。コロナ禍の今、再び注目を集める。

 作詞した松本隆さんが五月、会員制交流サイト(SNS)でこの曲の歌唱動画を募った。音楽活動が制限される世の中に希望の光をともしたいと考えた。幅広い年代の二百人が応募した。五十人ずつに編集した合唱映像がユーチューブに投稿されると、視聴は四万回を超した。

 郡山市の安積黎明高合唱団は三十年ほど前から歌い継ぎ、八月の定演でも披露した。団歌とも言える特別な曲だ。団員は安らかな世界への祈りを込めて歌う。郡山市の五十代男性は震災後に演奏を聞き、涙が止まらなかった。被災してくじけそうな心に潤いを取り戻した。

 感染者への中傷が問題となっている。〈♪争って傷つけあったり 人は弱いものね だけど愛する力もきっとあるはず〉。歌詞は、地球という名の船に乗る人が支え合う尊さを伝える。収束が見えず、どんなにストレスを抱えていても、病人への思いやりまでは忘れまい。