【高校野球】兄も見てきた名将が語る 早実の新4番で主将、清宮福太郎が持つ違う魅力とは

「4番・一塁」で先発した早実・清宮福太郎【写真:宮脇広久】

和泉監督は「パワーは、あんちゃん(幸太郎)のようにはいかない」が…

日本ハム・清宮幸太郎内野手の弟、早実の福太郎内野手(2年)が18日、ダイワハウススタジアム八王子で行われた高校野球秋季東京都大会1回戦、強豪の修徳戦に「4番・一塁」で出場した。主将も務める福太郎は3回、ボールになる外角スライダーを中前へ運ぶ“技あり”の適時打を放ち、4打数1安打1打点。チームは9-2の7回コールド勝ちを収め、4年ぶりとなる春の選抜出場へ向けて好発進した。

日本ハムでプレーする左打者の兄に対し、福太郎は右打ちだが、打撃フォーム自体はよく似ている。バットの先端を投手方向に向け、手首をくねくねと動かしながら投球を待つ構え方。身長181センチ、体重97キロの体格も、184センチ、101キロの兄にひけをとらない。

「力が入っちゃって、いつものバッティングができませんでした」と反省した福太郎だが、言語明瞭で、幼少の頃から注目されているためか、立ち居振舞いに華がある。

和泉監督はその打撃を「パワーは、あんちゃん(幸太郎)のようにはいかない。どちらかというと、しぶとくて勝負強いタイプ」と評し、「ツボを持っているので、そこに来たら飛距離も出る」と付け加えた。事実、今夏の西東京大会1回戦・八王子学園八王子戦では、この日と同じ球場で左翼場外へ飛び出す推定飛距離120メートルの特大弾を放っている。

今大会は、昨年のチームは夏大会が公式戦初戦とあり、実戦経験が少なかった。来年のラストイヤーに念願の甲子園出場を果たすことができれば、その経験が打者として格段の成長を促す可能性もあるだろう。

新チームとなった早実は、エースの右腕・田和と福太郎が投打の柱だ。和泉監督は「田和が抑えるという条件付きで、勝ち上がっていけるチーム。田和と清宮に要求することは、どうしても多くなる」と語る。

例年、今大会の優勝チームは漏れなく、翌年の選抜出場校に選出されている。兄は兄、自分は自分。その「しぶとい」カラーで、己の道を貫いて欲しい。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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