全米で無料給食始まる…子供の貧困解消につながるか

©株式会社光文社

無料給食の一例

全米の学校で、全生徒を対象にした給食の無料提供が始まった。

もともとは低所得者の子供たちを救う目的の配膳プログラムを、10月9日にFDA(アメリカ食品医薬品局)が拡大したもので、家庭の収入にかかわらず、18歳以下なら誰でも無料で給食を受け取れる。生徒本人ではなく保護者が受け取ることも可能で、昼食以外の提供をしてもよい。

細かな方針は学区によって異なるが、対面あるいはドライブイン方式で受け渡すところや、直接自宅に届けるところなどがある。現在、全米50州9万カ所以上で配布されている。

記者が取材したのは西海岸シリコンバレーの教育区で、学区内の3カ所で給食を配布していた。朝食と昼食の2食分が入っており、主食は2種類から選べる。パンにフルーツ、チップス、ジュースなどの典型的なアメリカのメニューで、野菜が見当たらないものの、十分なカロリーは取れそうだ。主食は温かい状態で、飲み物は冷たいまま受け取れるように配慮されていた。

この学区にはおよそ1万2000人の子供たちが通い、給食費の減額や無料対象となる家庭は、全体のおよそ1割弱。
全米では比較的裕福なエリアに相当する。取材した場所では100食が用意され、連日40食ほどが配られるという。多くの学生がまだオンラインで授業をしているし、パンデミック前から弁当を持参する生徒も多かったため、給食の必要数はあまり多い方ではない。

無料給食は誰でももらえるが味は今ひとつ

一方、ミシガン州西部のオトセゴ学区は、全体の約3割強ほどが減額や無料対象となる家庭だ。生徒数はシリコンバレーの学区の5分の1以下だが、先週は3000食以上を配り、今後も数が増える予想だという。この無料配布は来年の夏休み前まで継続することが決まっているが、その先どうなるかはわからない。

国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンによると、全米で1400万人ほどの子供が貧困のなかで育っているという。社会の17%の子供に十分な食料が行き渡っていない。特にミシシッピ州やルイジアナ州、ジョージア州など南部の地域には歴史的な貧困地区が存在している。

アメリカの9月の失業率は7.9%。明るい見通しがあるとすれば、バイデン氏が選挙に勝ち、ハリス氏とともに公約どおりの税制改革をした場合だ。バイデン氏は6歳未満の子供に約38万円、6歳から17歳までは約32万円の控除を与えるとし、ハリス氏は低所得者に新たな税金手当を提案している。

これらが実現すれば、貧困率を2018年の半分近い6.5%に減らし、750万人の子供を貧困から救うことが可能だとコロンビア大学の研究者たちが試算している。パンデミックで子供たちを取り巻く環境が今後どうなっていくかは予想しにくいが、子供の貧困はもはや待ったなしの状態だ。(取材・文/白戸京子)