欧州撤退ってマジ!? 今後の三菱は一体どーなるの!?【未来モビリティ総研】

三菱自動車が欧州市場から撤退するというニュースが飛び込んできた。ホンダがイギリス工場を閉鎖など、日本メーカーが欧州市場から離れるのは2例目。欧州で三菱はそれほど……と考えている人も多いとは思うが、実はかなりの台数を捌いている市場でもあったのだ。なのになぜ……今回は三菱自の欧州の実績などを踏まえて、今後の生き残る道を考えてみたい。

三菱 新型エクリプスクロスPHEV

超意外! 欧州の販売実績はかなりよかった

かつてはみんなの憧れ的存在であったパジェロは、今や姿なし……

三菱といえば、かつてパジェロがアジア勢として初の優勝を果たしたパリ・ダカールラリー(現ダカールラリー)やWRCでスバル インプレッサWRXと熾烈な戦いを繰り広げていたランサーエボリューションなど、ラリーや悪路に強いイメージを持つひとが多いハズ。欧州市場でも三菱のイメージは同じで、パジェロやランエボなど三菱を代表するクルマたちが人気を集めてきた。

タイで生産し、各国に輸出しているミラージュ。ライバル車種に比べると、クオリティーはかなり厳しく、販売面でも苦戦を強いられている

昨今は2013年に日本市場に投入されたアウトランダーPHEVを欧州市場でも発売し、これまでに約18万台を売り上げる人気のモデルに。北欧やオランダなどで販売台数1位に輝くほどの人気っぷりなのだ。ちなみに日本ではあまり見かけないコンパクトカーのミラージュはドイツでもっとも売れている量販車種に輝いたこともあるほど。

一体、欧州の三菱車オーナーはどうなるのか? といえば、当面はメンテナンスなどを中心にサービスを継続していく予定で、2016年に日本市場から撤退したフォードと同じようなイメージだ。

最優先はASEAN! 電動化もより強固に

ご覧の通り、今後はASEA地域を中心に注力してく。北米は固定費を抑えるにとどめ、欧州市場には新型車の投入はしない見込み

なのになぜ欧州市場から撤退をするのか? 筆者のような素人考えでは、もったいない! と思うのだが。先ごろ発表された中期経営計画によるとASEAN地域を重点市場とし、オセアニアや南アジア、南米や中東などにも新型車を投入し、ASEANに次ぐ稼ぎ頭として市場を育てていくという。

今後モータリゼーションが進むであろう市場をいち早く成熟した市場に育てあげ、インドで大成功を収めたスズキのような存在を目指すといったらイメージしやすいだろうか。

かつて日本でも発売されていたチェレンジャーの後継モデルに当たるパジェロスポーツ。東南アジアやロシアなどで発売されており、今や三菱を代表するクルマになりつつある一台

事実アセアン地域では、LP200(トライトン)やパジェロスポーツといったピックアップやSUVで熱狂的な支持を集めており、より強固な市場とするようだ。さらに電動化車両のラインアップを強化していくとも。

このウチ日本市場に投入されるのは何車種あるか不明ながら、着実に車種ライナップが増えることは間違いない

電動化を推し進めるとあったが、日本市場には先日発表されたエクリプスクロスPHEVを第一弾とし、新型アウトランダーPHEVを2021年度中に発売する見込みだ。中国市場にも積極的にEVを投入していくとアナウンスされている。

今こそ日本にアジアで人気のモデルを投入せよ!

今後の三菱の動きを簡単にまとめると、成長市場であるASEAに注力するというイメージだ。

一見いいように思えるが、この判断は本当に正しいのだろうか? 余計なお世話なのは重々承知しているが、2000年に発覚したリコール隠し騒動やそれ以降の燃費偽装など、度重なるスキャンダルを経験し国内の販売はかなり厳しい状況にまで陥った同社。

その際にモータースポーツからの撤退やランサーエボリューション/パジェロといった世界的人気を誇った名車の開発を中断するなど、古くからのファンを数多く失ったと言われているだけに、せっかく欧州で培ったブランドイメージをそっくりそのまま捨て去るのは……。それだけに欧州市場撤退はもう少し慎重に判断してもよいのでは? と思うのは筆者だけだろうか。

ランエボの再来か? ってとの呼び声も高いエクリプスクロスPHEV。このモデルで再起なるか!?

いずれにしても、先日追加されたエクリプスクロスPHEVがライバルを圧倒するデキだっただけに、今後追加される電動化モデルに期待したいところ。

ついでに言うならば、SUV市場は原点回帰とも言える動きがある。というのはハリアーやヤリスクロスといったシティ派モデルの人気は相変わらずだが、オフロードテイストの強いRAV4やロッキー/ライズといった泥臭いモデルが再び注目されている。それだけに、ASEAN地域で絶大なる支持を集めているパジェロスポーツの日本導入を前向きに検討してもらいたい。

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

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