コロナ禍で「目が疲れる」相談が急増!眼鏡のプロが勧める、自宅でできる3つの簡単ケアとは

コロナ禍によって、それまで以上にパソコンやスマートフォンを見る時間が増えました。ビジネスパーソンの間で主流となったリモートワーク、オンライン会議などでは、目を酷使したせいで視力そのものの低下だけでなく偏頭痛、首や肩のこりなど体全体の不調を訴える人も増えています。

10月は1日が「メガネの日」、10日が「目の愛護デー」で、眼鏡メーカー各社では「目とメガネの愛護月間」として目のケアを広く訴えかけています。ここでは特に「コロナ禍における目に関わる様々な問題」「目をきちんとケアするにはどうすべきか」に迫ります。メガネチェーン「ビジョンメガネ」笹塚ショッピングモール店小林豊店長に取材しました。


コロナ禍で急増中の「目」の相談とは!?

――特に最近増えている「目」に関する相談はどんなものが多いですか?

小林:巣ごもりやリモートワークによる「目が疲れる」「近くのモノが見え辛い」といったご相談が特に増えています。それまでは屋外をメインに働いていたり、1日中ずっと何かを凝視したりするような仕事ではない方でも、室内で作業する機会が増え、特にパソコンやスマートフォンを見る時間が増えています。

でも、人間の目は「近くのものを凝視しての作業」は特に疲れやすく、また目のピントも合わせにくくなります。このために、「目の疲れ」「近くのモノが見え辛い」といったご相談が増えているのではないかと思います。

人間の目はもともと遠くを見ることを優先されています。本来の目の使い方ならば、遠くの風景は特に力を込めなくて見ていられるものです。しかし、近くのものを凝視する場合、力を込めてピントを合わさなければなりません。当然疲れやすくなりますし、力を込めて目を酷使しているわけですから、調整機能が低下し視力も落ちてきてしまいます。

最近話題の「スマホ老眼」というのも、こういった「近くのものを凝視」したせいで起こるものです。

最近話題の「スマホ老眼」

――「スマホ老眼」は「乱視」とは違うのですか?

小林:違います。「乱視」は焦点が2つ以上に分かれてしまうものですが、「老眼」はピントが合わなくなることを指します。

ピントを合わせるための水晶体と毛様体筋が、固くなったり衰えたりすることで、従来の機能が低下してしまうのが「老眼」なのです。最近では年配の方だけでなく、20歳代など若い方でも、老眼に似た症状に悩む人がいます。

原因の大半はスマホの見過ぎなので、「スマホ老眼」と言われています。「近くを見続ける」ことに加え、電子機器から発せられる青い光が特に目に刺激を与えやすく、それで機能が低下してしまうんですね。

普段何気なく使っているスマートフォン、目への刺激は強い

体調全体をいたわるためにも、定期的な目のケアを

――よく「目を使いすぎたせいで、体全体が不調」という声も聞きます。

小林:特に多いのが偏頭痛ですね。あとは、首、肩のこりなども出やすいです。「気持ち良く見るため」だけでなく、体全体のことを考えても、日頃から目を労っておくほうが良いです。ご参考までに弊社で推奨している目のケアは以下になります。

■目のぐるぐる体操
・軽くパチパチと瞬きをする
・ゆっくりと右回りに眼球を回す(2~3回)
・同じように、ゆっくりと左回りに眼球を回す(2~3回)。
※なめらかに大きな円を描くイメージで、呼吸を止めずに行うことがポイントです。

■蒸しタオルであたためる
・タオルを水で濡らし、しっかり絞る
・ラップに包んで500~600Wのレンジで30秒チンする
・目の上にのせて、リラックス
※温めすぎ、火傷に注意して行ってください。

■十分な睡眠をとる
・なによりも、ぐっすり眠り、目を休めてあげることが一番!
・就寝約2時間前にはスマホ使用をやめて、眠りにつく準備をしましょう。
・朝目覚めたら、カーテンを開け太陽の光を浴びて身体と脳を目覚めさせましょう。

睡眠の際はアイマスクもお勧め。写真は「スリープマスク」(HLコーポレーション・税込4950円)

眼鏡は新型コロナウイルスの感染防止に役立つか?

―― 一度、視力が低下すると、特別な手術などをしない限りは元に戻りませんよね

小林:はい、元には戻りません。こうなった際に「眼鏡」「コンタクトレンズ」などで機能を補うことになるのですが、「コンタクトレンズ」は視力矯正のために存在するモノが多く、例えば「遠く用」「近く用」と使い分けたい場合、そう手軽には付け替えることができません。

一方、眼鏡はシーンごとに手軽に使い分けをしやすく、弊社ではコロナ禍以降、ういった「遠く用」「近く用」の眼鏡を使い分けてご購入される方が増えています。このように眼鏡を使い分けることで、さらなる目の機能低下を防ぐこともできます。

――ところで、感染防止対策としてマスクは定着しましたが、眼鏡は感染防止アイテムになり得るのでしょうか。

小林:「ウイルスは目からも感染する可能性がある」と言われていますので、ある意味では眼鏡もマスク同様の感染防止アイテムと言っても良いかもしれません。

例年、花粉症が飛び交う時期に、花粉対策の一つとして眼鏡を付けられる方がいますが、それと同様に考えれば、ウイルス感染リスクの軽減に役立つと考えています。

――例えば眼鏡のレンズ表面に、ウイルスが付着することも考えられますね。

小林 はい。ですので、眼鏡を着脱する際は、レンズやフレームにはできるだけ手が触れないように細心の注意が必要です。

マスクの着用は定着しましたし、手洗いやアルコール消毒も皆さんこまめにやっています。でも、眼鏡に対する除菌や洗浄って特に意識的にされている方はまだまだ少ないのではないでしょうか。弊社では無料で、眼鏡を全て分解し除菌・洗浄するサービスを行っています。感染防止策としての眼鏡の愛用として考えるなら、専門店でのこういったサービスを利用するのも良いと思います。

マスク着用、こまめの手洗いなどだけでなく、眼鏡の着用も感染防止策になります

視力は無自覚に悪くしている場合もある

――例えば「最近目が疲れやすいな」「見え辛くなったな」と思うことがあれば、すぐに専門店または眼科に行くほうが良いですね

小林:もちろんです。目は毎日使っているので、意外と視力の低下に気づかないことも多く、無自覚にどんどん悪くしている場合もあると思います。特にコロナ禍、リモートワークの浸透では目を酷使することが多いはずですので、注意するに越したことはありません。

他方、一般の方には正確な視力の測定はできませんので、目・視力に関して、最近特に気になっている方はもちろん、そうでない方も定期的に専門店または眼科に行って測定してもらい、対策をするのが良いと思います。

同店での視力測定の様子

目は人間にとって大事な機能です。どうかケアを怠らず、適度に目を休めながら生活していただければと思います。

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