【コロナ禍のアメリカ】ロスアンジェルスの街は今

街の様子はどう変わった?

 ここは、ロスアンジェルスで観光客に非常に人気のある「ポールスミスのピンクの壁」。ロスアンジェルスを代表するショッピングストリートのメルローズアベニューにあり、コロナ禍以前はいつ行ってもインスタに投稿するため写真を撮る人々で溢れていた。だが、現在は誰一人として写真を撮っている人はいない。

 メルローズアベニューやアボットキニーブルバードといった通りは、若者に人気のストリートで、セレクトショップやおしゃれなカフェ・レストランが軒を連ねている。通りを散策するだけでも楽しく、コロナ禍以前は多くの観光客や地元の客で賑わっていた。

 しかし、今では上の写真のように立ち退いた店が目立つ。おそらく全体の2~3割は立ち退いてしまったのではないだろうか。「For Lease(テナント募集)」のサインをあちらこちらで見かけるようになった。

 小売店は、3月19日の自宅待機令の発令とともに営業停止を余儀なくされた。その後、約2ヶ月の間、開店できない状況が続いたが、5月の終わりにようやく営業が許可された。しかし、くしくもBlack Lives Matterの抗議活動と重なり、抗議活動に便乗して発生した暴動により、多くの店舗が荒らされた。特にメルローズアベニューは被害が大きく、店舗の商品が全て奪われたお店もある。いつも行列が絶えなかったお店やレストランでさえ、リオープンが叶わず、閉店した店舗に落書きだけが残された場所が散見される。

今後の展開

 では、今後どのように経済活動は再開していくのか。

 カリフォルニア州では、業種によって規制の程度が変わる。

 「Tier 1」が一番厳しく、2→3→4と進んでいくに従って、規制は緩くなっていく。どの段階に当てはまるかは、各郡の感染者数や陽性患者の割合によって決められている。

 例えば、感染者数が10万人当たり7件以上で、陽性患者の割合が8%以上だと一番規制が厳しい「Tier 1」に入る。2週間に渡って次の段階の基準を満たせば、次に進むことが出来る。(※この州・郡というのは、日本に例えると州は都道府県で郡は市区町村のようなものである)

  具体的な規制の内容について見ていくと、レストランの場合、一番厳しい「Tier 1」では屋外の飲食のみ許可されているが、規制が緩くなるにつれて屋内での飲食も可能となり、さらには収容人数も増えていく。なお、本記事執筆時点において残念ながらロスアンジェルス郡はまだ「Tier 1」に属しているため、店内での飲食は禁止されている状態である。ロサンゼルス近郊の郡では赤色の「Tier 2」に区分されているところもあり、そこでは25%以内のキャパシティに抑えれば店内での飲食も可能である。

  また、小売店は営業が可能だが、収容人数を制限されているところが多い。それぞれのお店の入り口には、一度に何組までしか入れないという貼り紙が貼られている。

  そんな中でも特に厳しい状況を強いられているのは映画館ではないだろうか。現状、屋外での営業しか許可されていないため、ほとんどの映画館が営業開始を果たせないままでいる。

 他の業種を確認する場合は、こちらからご確認頂きたい。

  なお、カリフォルニア州におけるそれぞれの郡がどの段階(Tier 1~4)に属しているかというと、まだ全体の三分の一近くの郡が「Tier 1」に区分されている。こうした現状を鑑みると、経済活動が完全に再開されるまでは、まだ時間を要するだろう。

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