コロナで開店以来の危機も 「地元客の支えで乗り越えた」小樽の寿司の名店

「土曜旅館 桜の間」こんな時こそ願望叶え旅 小樽・美瑛リアルに実感②

©テレビ北海道

100店以上が軒を連ねる寿司のマチ・小樽。
近年はインバウンドの好調で、寿司屋通りや境町通りにも海外からの観光客があふれていました。一変したのは2月中旬。さらに3月の緊急事態宣言後はインバウンドだけではなく、観光客の姿が消えたといってもいいような状況に陥りました。小樽市内で屈指の人気店「小樽 宝すし」も、他の寿司店や観光関連の店と同じく大変な苦境に陥りました。店主の下間康弘さんは「37年間、すし職人をやってきて初めてゴールデンウイークに店を閉めた」と話します。

宝すしの一番のこだわりは「握りたて」を出すこと。カウンターの他にテーブル席もありますが、カウンター、テーブルに関係なく、とにかく一貫一貫握りたてを食べてもらうようにしている、といいます。「自分の手を離れた瞬間から寿司のおいしさは失われ始める」と考えているからです。こだわって握るだけあって、ネタはもちろん最高級。毎朝、札幌の中央卸売市場に仕入れに向かいますが、なじみの仲卸などが、「下間さんが買いたいだろう」と思う旬で鮮度の高い魚介類をとっておいてくれているのだそう。

握りたてにこだわった最高級のネタは見た目にも美しい

宝すしのメニューは、昼は5,500円のおまかせ12貫握りのみ。夜も14,300円~の旬のコースと、基本はコース。高いネタでも質の高さに応じた「時価」で提供すれば、会計にも反映できるのですが、コースは値段が決まっています。
魚介類は仕入れ状況によっても値段が変動するのですが、「いいものを仕入れたい」という気持ちが優先し、コース料金から逆算した利益よりも、「いかにおいしく食べてもらうか」しか考えないといいます。奥さんは「全く儲からない」と明るく笑います。特に近年は北海道を代表する味覚、秋サケやサンマは不漁が続き高値止まり。そうした中でも寿司のおいしさは譲れないというのが、宝すしが是とするところ。

儲けではなく美味しさを追求した美しい握り

緊急事態宣言が解除されてもなかなか観光客が戻らない時期もありました。しかしこの店が「正直に商売をしてきた」ことをよく知るのは地元客。「地元のお客さんが苦しい時期を支えてくれた」と下間さんは話します。
北海道産で旬なだけではなく、最上級の質の魚介類に、37年の経験の腕で魔法をかけたかのようにおいしく作り上げる寿司。名店、有名店が鎬を削る小樽にあってまさに宝といえる一軒です。

(2020年10月24日放送 テレビ北海道「土曜旅館 桜の間」でご協力いただきました)