【アメリカの大麻】トレンドはグミ?

アメリカの大麻

 日本では馴染みの薄い大麻。アメリカでは医療用と嗜好用に分けて扱われている。摂取方法としては喫煙、気化がイメージとして強いのではないかと思われるが、飲食により大麻を摂取する方法もあり、近年アメリカをはじめ、嗜好用として合法化されている国が増えてきている。

 アメリカでは、連邦法で大麻は違法であるが、州法では2017年夏時点で全50州中29州と首都ワシントンD.C.で医療大麻として、2018年2月までに、首都と9州で嗜好用として合法化されている。医療用大麻とは違い、嗜好用大麻はまだ違法である州の方が多いのが特徴だ。

  嗜好用の大麻としては『2006年世界薬物報告』に従い、乾燥大麻、大麻樹脂、液体大麻の3種類に分類される。乾燥大麻はマリファナとも呼ばれており、ニュースなどで聞き覚えがあるかと思う。

  大麻の成分にはCBD、THCなどがある。THCには薬理作用があり、紀元前から用いられてきた。カフェイン程度の依存性があり多幸感を覚えるなど、いかにも大麻という効能をもたらす成分だ。CBDはそれ単体では現在の研究では依存性、乱用の危険性などはないとされ、世界ドーピング防止規程の禁止薬物からも除外されている。

アメリカでトレンドの「大麻グミ」

 続いて、実際にどんな大麻グミがあるのか、一例を紹介したい。まず、KIVAというブランドのCAMINOという商品だ。この大麻グミはCBDとTHCが含まれており、不安の解消や睡眠導入に有効とのこと。KIVAによるとアメリカの成人の5000万から7000万人が睡眠障害の症状を経験しており、睡眠導入補助のために14%のアメリカの成人が大麻を使用しているという。違法でなく、安全性にも問題がないのならば睡眠に困っている人は大麻グミを試してみたいと思うのは自然なことなのかもしれない。

 他にも、最近ニュースで報じられ話題となっているのが、マーサ・スチュワートが世界最大級の大麻カンパニーのCANOPY GROWTHとコラボした大麻グミ。この商品はCBDが主成分で、人工着色料や防腐剤を含まないなど天然成分にこだわった商品となっている。実際のところはわからないが、THCを含まない分、さらに依存性など安全面の心配が少なそうではある。

 ただ、嗜好用大麻が徐々に普及してきているとはいえ、アメリカにおいてもニューヨーク州をはじめ、大麻グミのような嗜好用大麻が違法である州もまだまだあるのが現状だ。また、FDAが、一部の企業が連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)に違反し、消費者の健康と安全を危険にさらす可能性のある方法で大麻および大麻由来化合物含有製品を販売していることを認識していると報じていることもあり、今後規制が進む方向に向かうことも考えられる。

CBDを含むグミや食品の今後の動向に注目したいところだ。

 日本では現状大麻が嗜好用に合法化されるとは思えないが、医療用では今後も必ず合法化されないとは言い切れない。また、芸能人などが大麻を違法に使用しているニュースもあり、絶対に関わりを持つことがないとは言い切れない。遠い国の全く関係のない話とは思わず、時には大麻に関心を寄せ、その危険性や効果などを知識として身に付けてみるのも良いのではないだろうか。もちろん、大麻製品の飲食、使用、輸入などは厳禁だが。

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