【東京一極集中】一刻も早い是正を(10月20日)

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 政府が東京一極集中是正と地方の人口減少克服に向けた「まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二〇」を閣議決定した。新型コロナウイルスへの緊急対応と、地域経済の立て直しを目指し、地方への移住・定着の推進を打ち出した。リモートワークを活用して行政機能や企業の一極集中を解消し、感染症のリスクを回避する考えを歓迎したい。

 東京都内には、地方での労働と休暇を両立させる「ワーケーション」など新たな働き方を積極的に導入している企業が少なくない。日用品大手のユニリーバ・ジャパン・ホールディングスは山形県酒田市など全国の地方自治体と提携、デスクやインターネットに接続できる通信環境を整えた「コワーキングスペース」を自治体などから提供を受けた社員が、地域の課題解決に自治体や地元企業とともに取り組んでいる。旅行業大手のJTBは、リモートワークの大幅な導入拡大を進めている。日本航空も自社の航空網や人材などと地方の資源を組み合わせた事業を企画・立案する地域事業本部を、十一月一日に設置する考えを明らかにした。

 受け入れ側となる地方でも準備が進む。県内では、磐梯朝日国立公園を抱える福島市や北塩原村、猪苗代町のNPO法人や旅館組合などが環境省の補助を受け、ワーケーションの推進事業を展開する。いわき市は通信大手のソフトバンクと、政府の科学技術政策に関する基本方針の推進に向けた連携協定を結んだ。情報通信技術(ICT)を活用して行政手続きのオンライン化や自動運転技術の導入を検討する。

 コロナ禍を機に、移住者が増えている自治体もある。西会津町では、昨年度七人だったが、今年度は八月末時点ですでに十一人に達した。町はこれまでも、地方生活が体験できる「お試し住宅」の整備など移住促進に取り組んできた。年度内には「デジタル戦略(仮称)」を新たに策定し、リモートワークのさらなる普及や、町民サービスの向上を図る。

 全国各地で水害などの自然災害が相次いでいる。同じ様な規模の災害が都内で発生すれば、桁違いの被害になるだろう。首都直下型地震が起これば、内閣府は最悪の場合、死者は二万三千人を超え、被害額は九十五兆円と一年間の国家予算に匹敵すると想定している。政府の地震調査委員会は今後三十年以内に70%の確率で起こると分析しており、危機は間近に迫る。政府には基本方針の早期実現が求められる。(神野誠)