中央線「昭和グルメ」を巡る 第50回 変わらぬ店の雰囲気とコシの強いそば「かめや 新宿店」(新宿)

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いまなお昭和の雰囲気を残す中央線沿線の穴場スポットを、ご自身も中央線人間である作家・書評家の印南敦史さんがご紹介。喫茶店から食堂まで、沿線ならではの個性的なお店が続々と登場します。今回は、新宿の立ち食いそば店「かめや 新宿店」です。


店員さんの手際のよさと、絶品かき揚げの安定感

新宿西口の「思い出横丁」に入って青梅街道方面に進むと、2つ目の路地の左斜め前にこじんまりとしたおそば屋さんが現れます。それが、今回ご紹介する「かめや 新宿店」。

丸椅子が8脚あるので厳密にいえば"立ち食いそば"ではありませんが、気軽に立ち寄れる、その手のおそば屋さんであることは事実。

かめやは神田、新橋、銀座などにも店舗を持つチェーン店ですが、この新宿店は特に有名です。飲み屋が連なる思い出横丁内にあり、また平日は月曜を除いて24時間営業でもあるので、いつも席が埋まっている印象があります。

この日、伺ったときには珍しく3つの空席があったものの、ほどなくそこも埋まってしまうことに。さすがは人気店です。

ここの名物メニューは天玉そばなのですけれど、少し暑い日だったため、「天玉せいろ」を口頭で注文。ふたりの店員さんはすぐに調理を始め、ものの数秒で目の前に天玉せいろとそば湯が置かれます。

新宿店に限らず、この手際のよさもかめやの特徴。そういえば勤務先が神田にあったころに通っていた神田西口店でも、みなさんキビキビと動いていたなー。

ちなみに神田のころから僕の定番メニューは一貫して「冷やしたぬきそば+いか天」で、ほとんどそれしか食べていませんでした。そういえば新橋店で同じ注文をしたら、「いか天はありません」と言われたことがあったっけ。お店によって、多少の違いはあるようです。

今回、天玉せいろを頼んだのも、新宿店にもいか天はなさそうな気がしたから(推測です)。

そばの上にかき揚げが載り、温泉たまごはつゆに浸かっています。見た目は非常にシンプルですが、でも、かめやの場合はひと味もふた味も違うんですよね。

まずは、そば。神田西口店の店員さんによると、かめやは製麺工場を持っているそうなのです。どの店で食べてもクオリティが変わらないのは、きっとそのせい。

キリッとコシがあって喉ごしもよく、とてもおいしいそば。あくまで個人の見解ですが、立ち食いそば系のお店ではダントツだと思います。

適度な甘みがあって、でも甘すぎるわけでもないつゆの味わいも絶妙で、そばの味をうまく引き立ててくれます。この日、名物の温泉たまごは少しだけ固めなようにも思えましたが、とはいえそばとつゆに絡めると、また違った味が楽しめます。

そして、かめやといえば無視するわけにいかないのが、もうひとつの名物であるかき揚げ。

いか天についても同じことが言えるのですが、かめやの天ぷらって、どのお店でいつ食べても驚くほど完成度が高いんですよ。

カリッとした食感が保たれており、立ち食いそば屋さんの天ぷらにありがちなフニャフニャ感は皆無。しかもカラッと揚がっていて油のキレもいいので、胃もたれしないのです。

いか天にくらべれば、かき揚げを食べる機会は少なかったけれど、やっぱりすごいボリューム。ネギ、人参、えびなどが入ったそれは厚みがあり、ひと口ではかじれないほどです。しかもクリスピーなので、気をつけないと口内を怪我してしまいそう。

そのため「これ、食べ切れるかなぁ」と不安に感じたりもしたのですが、それでもサクサク食べ進められます。

長居をするような店ではありませんから、食べ終えた人は「ごちそうさま」というひとことを残してどんどん去っていきます。すると、またすぐに新しいお客さんが着席。そんなテンポ感が心地よい。

店員さんは必要以上に愛想を振りまいたりしませんが、過剰すぎるサービスを受けるより、このくらいのほうがちょうどいいと感じます。しかも無愛想というわけではなく、そばを出してくれる際には「お待たせしました」と声をかけてくれるし、空いた席があれば、入ろうか迷っている人に「どうぞ、ここの席が空いてますよ」と声をかけたりもしています。

つまり、やることはしっかりやって、過剰なことはしない。その加減がいいのです。もう何100回食べたか分からないけど、本当にここのおそばはおいしい。自信を持っておすすめできます。


●かめや新宿店
住所:東京都新宿区西新宿1-2-10
営業時間:[月]6:00~24:00、[火~金]24時間営業
定休日:日曜