【アメリカ大統領選】投票日まで2週間!注目すべきは、全米平均の世論調査ではなく接戦州の動向

2020年11月3日(火)に予定されている米大統領選挙までついに残り2週間となりました。9月末に行われた討論会のカオスぶり、トランプ大統領自らの新型コロナウィルス感染など、選挙直前にもたらされると言われる「オクトーバー・サプライズ」の連続で、現状トランプ大統領の劣勢が多くの報道で伝えられてます。テレビや新聞、ネットメディアでも失言や問題発言・行為を含む「注目の高さ」でトランプ氏の「追い上げ・巻き返し」「猛追」が見出しにあったとしても、ここは冷静に世論調査や全体的な動向を見守る必要がありそうです。

国内メディアで大統領選の世論調査の状況が伝えられる際、全国平均のデータが紹介されることが多いのですが、米国大統領選挙の場合は州毎に投票数の多い候補者が州毎に割り振られた「選挙人」を「総取り」する形で開票が行われることもあり、いわゆる接戦州(激戦州、スィングステートなど)と呼ばれる州ごとの動向をチェックすることがとても大事になってきます。

今回の大統領選挙において接戦州はフロリダ、ペンシルバニア、アリゾナ、ミシガン、ウィスコンシン、ノースキャロライナなどの6州が注目すべき州として挙げられてます。今後の大統領選の動向を俯瞰的に理解するためにも、今回は主要メディアの特設サイトとリンクをご紹介したいと思います(画像は全て2020年10月19日時点のものです)。

リアル・クリア・ポリティクス

リアル・クリア・ポリティクスは様々な世論調査結果を統合してリアルタイムで更新されていることもあり、国内でも主要マスメディア含め多くの報道機関で参照されているサイトです。

リアル・クリア・ポリティクスによる米大統領選世論調査(全国平均)

10月19日(月)時点でバイデン氏がトランプ氏に対して8.9ポイントリードしていることが分かります。

リアル・クリア・ポリティクスによる米大統領選世論調査(接戦州6州の平均)

10月19日(月)時点でフロリダ、ペンシルバニア、アリゾナ、ミシガン、ウィスコンシン、ノースキャロライナなどの激戦州6州の平均値はバイデン氏が4.3ポイント優勢です。フロリダは現在バイデン氏のリードが1.4ポイント差でトランプ氏に傾く可能性も伺えます。

ファイブ・サーティ・エイト

世論調査の分析に定評のある「ファイブ・サーティ・エイト」の最新の予測モデルによれば、今年の米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が選挙人の獲得数でトランプ大統領を上回り、勝利する確率はこれまでで最高の87.1%に達し、全米538人の選挙人のうち350人近くを獲得する見通しが示されてます。

 

エコノミスト(The Economist)

 

3年創刊の老舗週刊誌であるエコノミスト誌は今回初めて米大統領選予測サイトを作成しましたが、その作成者であるエリオット・モリス氏は弱冠23歳のデータ・ジャーナリストということもあり、注目です。同サイトではバイデン氏当選の確率を91%と予測、接戦州の動向も冒頭お伝えした6州以外にミネソタ、ニューハンプシャー、ジョージア、テキサスも加え、詳しく動向が紹介されてます。

フィナンシャル・タイムズ (Financial Times)

英国の経済誌フィナンシャル・タイムズではトスアップ州(激戦州)としてテキサス、フロリダ、オハイオ、ジョージア、ノースキャロライナ、アリゾナ、アイオア、メイン州も挙げられていて、他の世論調査とは異なる視点も含まれてます。既にバイデン氏に投票することが確実視(Solid)、或いは高い可能性がある(Leaning)州の合計として279人に達していて、やはりバイデン氏勝利の可能性を予測していることが分かります。

そもそも世論調査はあてになるのか?に対する回答

ここまでご覧になった方の中には2016年の前回の大統領選の際に世界中の大半の世論調査の予測を覆してトランプ大統領が当選したことを思い出し、果たして世論調査はあてになるのか、と思う人もいると思います。

この点に関しては既に様々な専門家から前回の失敗(「学歴」の項目の適正化が正しく行われてなかった等の点)を踏まえ、修正を施して万全を期している、という声が聞かれます。また、隠れトランプ支持者の声が正しく世論調査に反映されてないという指摘もあります。この点に関しても前回の選挙では直前まで支持を決めかねていた態度未決定の有権者が13%と非常に高かったものの(2012年から8ポイント増)、今回は5%程度まで低下していて、多くの候補者が既に誰を支持するかを決めている点が「世論調査を信頼すべき」、という根拠として挙げらられています。

投票日まで残り2週間、大きなスキャンダルや外交・経済成果、或いはワクチン開発など、想像もできないことが起きるかも知れません。今週22日には最後の討論会も予定されてます。メディアでのセンセーショナルな見出しや全国の世論調査データに踊らされないためにも、今回ご紹介した激戦州も含めた世論調査のオリジナルのデータを是非参照してみてはいかがでしょうか?

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