海外で安楽死望む患者の診断書、偽名で作成 容疑者の2医師、有印公文書偽造罪で追起訴

有印公文書偽造罪で追起訴された大久保被告(左)と山本被告

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者への嘱託殺人事件で、別の難病患者に対して海外で合法的に安楽死するために必要な診断書を偽名で作成したとして、京都地検は20日、有印公文書偽造の罪で、いずれも医師の大久保愉一容疑者(42)=仙台市=と山本直樹容疑者(43)=東京都港区=を追起訴した。地検は2人の認否を明らかにしていない。

 2医師は8月に嘱託殺人罪で起訴されている。今月26日には、裁判の争点などを事前に絞り込む公判前整理手続きの第1回協議が行われる。

 有印公文書偽造罪の法定刑は1年以上、10年以下の懲役で、嘱託殺人罪の6月以上、7年以下の懲役または禁錮より重い。併合罪の規定を適用すると、刑の上限は懲役15年となる。

 起訴状などによると、2人は共謀して昨年9月28日午後7時20分ごろから同8時45分ごろまでの間に、福岡市の福岡空港で、九州に住む難病患者の20代女性の病歴や病状、予後などを記した英文の診断書2通に、国立大学病院の医師と称して第三者の氏名をサインして公文書を偽造したとしている。

 関係者によると、この女性は外国人を受け入れているスイスの自殺ほう助団体に依頼して安楽死することを望んでおり、申請には医師の診断書などが必要だったという。

 府警によると、2医師と女性は会員制交流サイト(SNS)を通じて知り合い、少なくとも昨年8月ごろには女性から診断書の作成を依頼された。女性と面識はなく、対面での診察をせずにメールのやりとりで病状を記載したとみている。

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