西武平良、右肩違和感を乗り越えて新人王争いで加速 「何も考えず0点で帰るだけ」

西武・平良海馬【写真:荒川祐史】

チーム最多45試合登板でリーグ2位26ホールド「とりあえず抑える」

■西武 2-1 ロッテ(20日・メットライフ)

プロ3年目・20歳の最速160キロ右腕、西武・平良海馬投手は20日、本拠地メットライフドームで行われたロッテ戦の8回に登場し、3人でピシャリ。9月4日の日本ハム戦以降、17試合連続無失点となった。兄貴分の元守護神・高橋朋己投手が今季限りでの現役引退を表明した日に、新人王争いで加速した。

「引退されるとは全然知らなかったので、びっくりしましたが、失点したりしないように心がけました」。この日もかつて高橋朋が登場曲として使用していたE-Girlsの「Follow Me」に乗ってマウンドに上がり、先頭の藤原を内角低めの154キロ速球で詰まらせ、三ゴロに仕留める。続く荻野は外角の153キロで遊ゴロ。さらにマーティンをスライダー、チェンジアップで追い込み、この日最速の157キロで空振り三振に切って取った。

20日現在、チーム最多の45試合に登板し、防御率1.66、1勝0敗1セーブ。ソフトバンクのモイネロの36ホールドに次ぐ、リーグ2位の26ホールドを挙げている。「(好調の)要因は、何も考えずに0点で帰ってくることだけを強く意識していることだと思います」と言うが、経験の浅い右腕には疲労の陰も忍び寄っている。

右肩の違和感で、7日のソフトバンク戦と16日のオリックス戦の間に中8日のインターバルを空けた。「こんなにたくさん投げたことがなかったので、疲れだったのかなと思います」と明かすが、マッサージなどのケアを増やし復調傾向。開幕から1度も1軍の戦列を離れることなく、貢献し続けている。辻監督は「肩の具合もあって、先頭打者を出す場面が目立った時期もあったが、今はそういう不安は感じられない。ストライク先行の投球ができている」と胸をなでおろした。

新人王争いは、楽天のドラフト1位遊撃手の小深田が、9月の月間打率.320で急浮上。9月下旬からチームの1番に定着し、今季打率を.279に上げている。投手と野手の比較は難しいが、平良も「何をしたら取れるのかわかりませんが、とりあえず抑えるようにします」と一歩も引かない構えだ。

一方、西武では守護神の増田がこの日、9回に2四球で2死一、二塁のピンチをつくり、田村に同点適時打を浴びて2試合連続失点となった。リーグトップのロッテ・益田に1差の28セーブを挙げているが、こちらも疲労の色が濃い。辻監督は「増田はここまでずっと抑えてきた。信頼できる投手で、打たれたとしても、どうこう言う野手はいない」と強調したが、クライマックスシリーズ進出圏の2位ロッテとの差を5ゲームに縮めただけに、残り18試合、平良がさらなる重責を背負うような展開もないとは言い切れない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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