人も企業も選ぶ北海道㊦~変わる働き方~

けいナビ

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今回のけいナビは「人も企業も選ぶ北海道」の後編。新型コロナウイルスの影響で変わる働き方、その受け皿づくりについて特集する。

北海道への移住相談が増加中

東京・有楽町のNPO法人ふるさと回帰支援センター。41道府県と2つの市のブースが設けられ、移住を希望する地域の担当者に直接相談ができる。多くのブースで空席が目立つなか、北海道ブースには絶えず相談者の姿が。その奥では、リモート相談も同時に行われている。コロナ拡大後の北海道ブースの相談数は、多い日には7組、平均すると1日4組ほどだという。

ふるさと回帰支援センターの高橋公理事長は「コロナ禍で相談がじわっと増えている。6~8月くらいでだいたい2割~3割相談者が増えた。北海道の人気はじわじわと上がってきている」と話す。

近年北海道への移住の人気は高まっている

北海道での“ワーケーション”が発想の源に?

新型コロナの拡大とともに、よく耳にするようになった“ワーケーション ”という単語。働く=ワークと、休暇=バケーションを組み合わせた言葉だ。ことしは感染防止のため、都会を避け、北海道でワーケーションをする人が増えた。

冬場は外国人スキーヤーでごった返す、倶知安町ヒラフ地区のスキーロッジ。倶知安町はこの夏、ロッジの2階にあるレストランをワーケーションスペースとして無料開放した。

利用者はニセコエリアに滞在する外国人が多いが、その中に日本人女性の姿が。ファッションブランドを手掛けるデザイナー稲葉エリさん。例年は夏場、横浜とインドネシアを行き来し、冬場はスノーボードを楽しむためニセコに滞在するが、ことしは海外渡航もできないため1年を通してニセコに滞在し、働きながらニセコ暮らしを満喫している。

稲葉さんは、知り合いから格安で借りた、倶知安の戸建で仕事をしている。稲葉さんが3年前に立ち上げたブランド「火と葉」。インドネシアの伝統的な布と天然の染料で作る、こだわりの服だ。先月は販売会を開き好評だった。今後もニセコで新たなデザインを練る日々が続く。

この日、倶知安町ヒラフ地区にあるフォトギャラリーに稲葉さんの姿があった。ギャラリーにはオーストラリアから移住した写真家アーロン・ジェミソンさんが撮影した作品が並ぶ。ニセコの雪をテーマにした写真家として知られ、稲葉さんのデザインに影響を与えるアーティストの一人だ。ニセコ滞在で得られるこうした出会いが、稲葉さんの作品の新たな発想の源となっている。

北海道にコワーキング拠点が続々

今月上旬。公園の駐車場にドローンを飛ばす準備をする1人の男性が。東京を拠点に活動しているビデオグラファー伊藤広大さん。去年「北海道命名150周年」を記念した北海道の事業で、各地の自然景観をドローンで撮影した映像クリエーターだ。

北海道各地を飛び回る伊藤さん。今回は遠軽町の依頼を受け、今月5日から北海道入りし、4日間に渡ってオホーツク沿岸を回って撮影した。東京で暮らす伊藤さんは近年、北海道での仕事を増やしつつある。その理由の1つが「仕事拠点の獲得」。長距離移動や車中泊で北海道を転々とする一方で、映像編集や事務作業をする拠点も必要とする。

提供:遠軽町

伊藤さんが拠点とする仕事場は、札幌の中心部、大通地区のビルの8階にあった。おととし営業を始めたコワーキングスペース、大人座。高速のWi-Fi環境やコピー機などを自由に使うことができる。カフェも併設され、コーヒーや軽食を楽しみながら仕事ができる。

この大人座を立ち上げた五十嵐慎一郎さん。「カチカチのコワーキングスペースは札幌にそんなに根付いていなかったのでいろいろな業種の人が集まって、出会って新しいものが生まれる場を作りたかった」と話す。

ことし7月、五十嵐さんがプロデュースする新しい拠点が札幌の中心部に誕生した。サッポロ・インキュベーション・ハブドライブ。コワーキングスペースはもちろん、起業したい人の相談窓口などもある支援施設。

8月には竹本科学技術大臣が視察に訪れるなど、国からも注目されている。こうした施設を支援する札幌市は7月、全国8カ所目となる国の「スタートアップエコシステム拠点都市」に選ばれていて、官民での受け入れ態勢の整備が進んでいる。

ワーケーションの環境整備で地方経済に光を

先月、富良野市の中心部で空き物件を見て回るグループ。ワーケーションの拠点を探していた。市の職員が案内していた相手はワーケーション施設を運営する東京のウェルビーイング。千葉や新潟、北海道では函館でも事業を展開している。

野口茂一社長は「私たちのワーケーションは最低2週間から1カ月以上のロングワーケーションを想定しているので、飽きない状態、住める状態を作らなきゃならない」と話す。

この日は空き店舗や市内で運営されているコワーキングスペースなど3カ所を見学。入念に「適地」を探した。富良野市はことし、企業経営者や宿泊事業者、行政などで組織するワーケーションの研究会を立ち上げ、移住者の受け入れ拡大を狙う。研究会は富良野のワーケーションへのポイント制を提案。この夏から導入された。今後、具体的なポイントの利用方法を決め、リピーター獲得につなげる。

富良野市の小國直道さんは「コロナ禍で地域経済が衰退しているのでそこを補う形でワーケーションで盛り上げていけたらいい」と話す。

人の価値観や働き方が変わり、受け入れる環境づくりが必要とされている。官民でどれだけ需要を取り込んでいけるかが問われている。
(2020年10月24日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)
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