ワーケーションを観光振興に 環境整備へ雲仙市 初の現地視察会

ワーケーション施設としての活用が検討されている旧雲仙小の校舎内を見学する参加者ら=雲仙市

 長崎県雲仙市は、雲仙温泉街で休暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」の環境整備につなげるため、18日から2泊3日の日程で、ワーケーション普及に取り組む団体、企業の関係者らを招いた現地視察会と意見交換会を初めて開き、観光振興や関係人口を増やす糸口を探った。

 市は、観光戦略で「6日間滞在できる雲仙」を目指しており、宿泊の在り方の一つとして、ワーケーション客の受け入れを推進している。視察には一般社団法人ワークデザインラボ(東京)や民間企業のシーエーシー(同)、県内の観光関係者ら約20人が参加した。
 市は、今年3月末で閉校した旧市立雲仙小の校舎をワーケーション施設の候補として検討しており、視察団に旧校舎のほか、雲仙と小浜の両温泉街などの観光スポットや、基幹産業の農業生産現場なども紹介。旧校舎では教室や調理室、体育館などの現況を確認し、案内役を務めた市観光商工部の加藤雅寛理事が「緑が見えて心が安らぐ環境。親が仕事をしている間に、残りの家族向けに(調理室で)地元野菜の料理教室を開くなど、教室ごとに活用のコンセプトを設けたい」などと説明した。
 夜には両温泉街関係者らとの交流会を開き、ワーケーションで滞在する客が市内観光する仕掛けづくりや、観光と農業の連携についても意見を求めた。
 ワークデザインラボの石川貴志代表理事(42)は旧校舎活用について「方向性をある程度決めた上で、事業として継続させるために運営体制などの事業計画が重要になっていく」と指摘。関係人口づくりでは「例えば家族連れでワーケーションの滞在をすれば、家族も地元の人と仲良くなり、交流の継続につながっていく」と語った。
 日程を終え、加藤理事は「ワーケーションを通した観光振興や、その先の移住促進を見据えて協力態勢を築くことができた。今後も関係性を深めて、協力いただきたい」としている。

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