「毎月がんばって貯金に回すも、家計が苦しくカード決済頼りに」家計の何が問題?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、30歳のシングルマザー。貯金がゼロからスタートしたため、かなり焦って貯金をされているそうですが、毎月お金が足りなくなりカード決済に頼ってしまうとのこと。何が問題なのでしょうか? FPの飯田道子氏がお答えします。

去年離婚し、シングルマザーになりました。

貯金がゼロからの状態で再スタートしたため、かなり焦って毎月貯金に回しています。家計簿をこまめにつけており、計算上は毎月黒字になるはずなのですが、なぜか家計が苦しく、カードを切る→翌月に負債を支払うためまたカードを切る、の悪循環になっています。やはり貯金に回す額が収入に対して大きいのでしょうか?

転職したばかりで今年から初めてボーナスがあるのですが、今までなかったので月々から教育費、特別費を貯めていました。ボーナスを見越して少し緩めてもいいのでしょうか?

【相談者プロフィール】

・女性、30歳、会社員、独身(離婚)

・同居家族について:子ども(4歳、6歳)

・住居の形態:賃貸

・毎月の世帯の手取り金額:22万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:20万円

・毎月の世帯の支出の目安:15〜16万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:4万5,000円

・食費:2万9,000円

・水道光熱費:1万3,000円

・教育費:1万円

・保険料:1万2,000円

・通信費:4,000円

・車両費:1万3,000円

・お小遣い:0円

・その他:2万7,000円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:8〜10万円

・現在の貯蓄総額:70万円

・現在の投資総額:13万円

・現在の負債総額:50万円


飯田:去年離婚し、シングルマザーとして仕事に子育てにがんばっている相談者様。家計簿は黒字であるものの、家計は苦しく、カードに頼ってしまうのだとか。貯金はしっかりできているのですが、もう少し、貯蓄のペースを緩めても良いのかという相談です。相談者様の場合、なぜ、黒字なのに家計が苦しくなってしまうのか、貯蓄のペースをどのようにするべきかについて、考えてみたいと思います。

なぜ黒字なのにお金が足りなくなるのか?

計算上、黒字なのにもかかわらず、お金が足りなくなる原因は2つあります。
(1)単純な計算間違いをしている
(2)正確に、家計簿に記入できていない等があります。

(1)単純な計算間違い
1度や2度なら考えられますが、毎月間違えることは考えにくいかと思います。とはいえ、念のため確かめてみてください。

(2)正確に、家計簿に記入できていない
これは、数字の間違えと言うよりも、記入漏れが考えられます。家計簿は小まめにつけているとのことですが、どの程度チェックしているのでしょうか?

面倒だと思いますが、週末毎に記入したものと残金がいくらかをチェックし、過不足がないか確認してください。また、大切なのは「差額がいくらであるのか?」ということです。差額が分かると、未記入であっても、何に使ったのかを思い出しやすくなりますよ。

未記入分の早期発見にもつながりますので、使い過ぎた場合には、「あといくら使ってもいいのか」も分かるため、支払計画を立てやすくなります。

そもそも無駄遣いはあるか?

相談者様の家計の内訳を拝見すると、目立って無駄遣いにつながっている様子は見受けられません。子どもさんが4歳と6歳とまだ幼いため、今は、食費や教育費にはあまりお金はかかりませんが、中学生くらいになると、特に教育費の支出が増えていきます。それまでの間は、ライフプラン上で貯めやすい期間とされています。この期間を有効に使ってください。とはいえ、無理は禁物です。

ボーナスの使い道はどうする?

初めてボーナスを貰えるとのこと。楽しみですね。相談者様は、現在、毎月8~10万円貯蓄しています。ボーナスがあるので、もう少し、「貯蓄のペースを緩めても良いのか?」が気になっているポイントのようですが、その前にクリアしてもらいたいことがあります。

それは、家計簿の数字と現金をあわせることです。さきほど、どうしてお金が足りなくなるのかを考えて頂きましたが、その理由が分かるまでは、今のままの生活を続けておいてください。原因が分かるまでは、ボーナスは貯蓄しておいてくださいね。

家計の予算立てと管理方法

小まめにチェックをすれば、お金が足りなくなっている原因も分かってくると思います。原因が分かったら、生活費(水道光熱費、食費、保険料等)を除いて、どれくらいの費用がかかるのかを書き出しておき、何にいくら使うのかを把握するようにしましょう。

何にいくら使うのかを把握し、予算を決めたら、あらかじめ予算を袋分け(銀行等の封筒でよい)しておくのも手です。袋分けは、以前、主婦の間で一世を風靡した管理方法です。

袋には予算立てした分のお金を入れておき、使った金額と残金を記入しておけば、どの項目が使い過ぎなのかが分かります。ここで大切なのが、項目にない出費をどのように管理するのかということです。イレギュラーな出費は予備費として準備し、袋分けした予算の範囲で賄うようにしましょう。

結局、貯金のペースは緩めてもOKなの?

お金の流れが正確につかめられるようになったら、ボーナスと給料とで、併せていくら貯めるのか、金額を決めてください。ボーナスと毎月の貯蓄額の比率は、相談者様の都合で考えても良いですよ。過不足の原因が分かったら、毎月の貯蓄のペースは緩めても良いでしょう。

これからの生活に向けてのアドバイス

負債額として50万円が計上されています。これは、カードのリボ払いかキャッシングの金額でしょうか。可能であれば、繰り上げ返済してほしいのですが、返済額を増やすのが難しいようなら、毎月コツコツと返済していけば大丈夫です。

子どもさんが大きくなると、レジャー費など、家族で楽しむ出費も必要になります。レジャー費の計上と、相談者様が楽しむための予算も計上してください。子どもさんのために頑張っているママは素敵だと思いますし、子どもさんも、きっと、そんなママのことが大好きだと思います。いつも笑顔でいるため、自分のためにもお金を使ってほしいと思います。

離婚して間もないので、気持ちが張っているとは思います。そろそろ一度、息抜きをしてもいいのでは? 子どもさんのためにも無理は禁物です。お身体を大切にしてくださいね!

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