離島の「DJポリス」 コロナ禍、新しい発想で啓発

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特殊詐欺被害防止を軽妙な話術で通行人に訴える大原さん=新上五島町(撮影のためマスクを外しています)

 長崎県の新上五島署に軽妙な語り口で交通安全や防犯を呼びかける「DJポリス」がいる。地域交通課交通係長の警部補、大原弘太さん(33)。住民にも「印象に残り分かりやすい」と好評で、「新しい発想」で啓発行事を盛り上げている。
 「詐欺に遭わないため『おむすび』という言葉があります。でも、食べるおむすびでは、ありません」
 10月15日、新上五島町青方郷にある十八親和銀行新上五島支店近くの駐車場。
 大原さんは「お」ちつく、「む」すめ・むすこに確認する、「す」ぐに振り込まない、「び」んそくに届け出る-の頭文字をとった合言葉を銀行利用者らに連呼した。
 年金支給日に合わせた特殊詐欺被害防止活動の一環。「詐欺被害はお年寄りに限らない問題」などと説明を交え、ほとんど休憩せず約1時間マイクを握った。
 同郷の川端シマ子さん(82)は「分かりやすく、警察に親しみが湧いた」と感心した様子。大原さんは「『おむすび』のフレーズを印象づけたかった。のどは痛いが、通行人たちが聞いてくれ楽しくできた」。
 長崎市出身で、瓊浦高2年から長崎大4年まで小中高生らでつくるボランティア組織に所属。後輩らに活動内容など説明する際、楽しく、くだけすぎない雰囲気を意識した。この経験が相手の反応を見ながら話す訓練になったという。2011年4月、警察官となり、浦上署を皮切りに交通畑を歩む。取り締まりの際は、運転手に違反行為がなぜ危険か説明することを心掛けてきた。
 佐世保署時代はコミュニティーFMで定期的に交通安全について講話した。「そのときに出る言葉の面白さを大切にしたい」とポイントを押さえるだけで台本はほとんど準備しない。
 今春、新上五島署に赴任。先輩らの意見を聞き、地域交通、刑事生活安全の課の垣根を越え啓発に取り組んでいる。中村敏弘署長は「問題意識を持って業務に当たっている。今後も新しい発想で取り組んでほしい」と期待を語る。
 一方、新型コロナウイルス禍は大原さんの活動にも影を落としている。3密回避のため交通安全教室などは対面開催が難しい。9月下旬、町立有川中内の映像配信設備を活用し、各教室のモニターを通した交通安全教室を実施した。相手の反応を見ながら講話したいが「できないと嘆くだけでなく、広報の新しいかたちを模索したい」と前を向く。