「狙っていない」のに逆転弾…専門家が解説、燕・村上が難しい球を打てた理由

ヤクルト・村上宗隆【写真:荒川祐史】

元ヤクルトの飯田哲也氏が解説、伏線は第一打席の三振

■ヤクルト 2-1 巨人(21日・神宮)

ヤクルトの若き主砲・村上宗隆内野手が21日、本拠での巨人戦で24号逆転2ランを放ち、試合を決めた。巨人の左腕、高橋の外角低めへのスライダーをとらえた。打った方を褒めたい難しい球を、左翼席へ。ヤクルトで選手、コーチとして活躍した飯田哲也氏がなぜ打てたのかを解説した。

1点のビハインドの6回1死二塁。カウント3-2からの6球目だった。先発・石川の勝利を呼び込む2ラン。投げた高橋も失投とは言い難い。下半身でしっかりと粘り、自分のゾーンに呼び込んで、弾き返した。見事な一発だった。

「村上くんはうまかったですね。今年、何度も見ていますが、逆方向に打てるのは強い。あの場面は、本人は本塁打を狙っていないと思いますよ。打とうと思っていないです」

結果は勝利を導く4番の大きなホームラン。しかし、飯田氏は前の打席の空振り三振と、5球目までの追い込まれ方が“伏線”になったという。

「それまで、タイミングをずらされて、スライダーが前に飛んでいなかった。なんとか食らいついてやろうという感じが伝わってきました。追い込まれていたから、なんとかしないといけないと、食らいついてやろうという気持ちがあった。だからこそ、打てた打球。あそこで狙い撃ちはできません」

村上は初回無死満塁の大チャンスで、フルカウントから高橋のスライダーに空振り三振に仕留められていた。村上の後も倒れ、絶好機に無得点。ここで取れていれば、石川はもっと楽な気持ち投げられていただろう。その悔しさがあった。

「初回の満塁の場面でなんとかしないというのはあったんだと思います。本人、打点王のプレッシャーあるでしょうけど、これからも打点を稼いで欲しいです」

必死さが生んだ決勝弾だった。打点王だけなく、本塁打王のタイトルもまだ十分、可能性がある。豪快さと、粘りを併せ持つ主砲の成長はヤクルトの希望でもある。(Full-Count編集部)

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