WorldRX第7・8戦:2019年王者ハンセン、2017-18年王者クリストファーソンが勝利を飾る

 10月17~18日の週末にスペイン・バルセロナでのダブルヘッダー戦が開催されたWorldRX世界ラリークロス選手権は、土曜日の第7戦を2019年王者ティミー・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー/チーム・ハンセン)が制し待望の今季初勝利をマーク。続く日曜日の第8戦は2017-18年王者ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー/クリストファーソン・モータースポーツ)が劇的勝利を収め、キャリア通算24勝目を挙げている。

 変則的シーズンを強いられ週末ダブルヘッダーでの開催が続く2020年のWorldRXシリーズだが、おなじみスペインのGPサーキットでの連戦も、チャンピオン経験者が躍動する週末となった。

 オープニングとなる合計4回の土曜予選ヒートで速さを見せ、最初のTQ(top qualifier)となったのは、今季の本格シリーズ復帰からすでに3勝を飾っているクリストファーソンで、セミファイナル1も制して順当にファイナルのポールポジションを確保する。

 一方、セミファイナル2を制した2019年王者ティミーは、弟のケビン・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー/チーム・ハンセン)とワン・ツーを飾り、打倒クリストファーソンを期してファイナルヘと挑んだ。

 その6周ファイナルでも序盤から首位をキープしたクリストファーソンは、最終周までジョーカーラップ消化を遅らせる作戦で挑んだが、4輪ともに温存していたニュータイヤを投入したティミーのプジョー208WRXスーパーカーが競争力あるラップを重ね、最後の最後で逆転に成功。わずかなミスも犯さない完璧なラップを続けたティミーが、クリストファーソンを0.5秒差で下して2020年4人目のウイナーとなった。

「まるで無敵のドライバーを打ち負かした気分だ。彼らフォルクスワーゲンをプライベーター時代、ファクトリー時代と変わらず追いかけてきた。僕らもおなじ時を過ごして、ここへ来るまでにテストに次ぐテストを重ねて懸命に取り組んだんだ」と振り返った勝者ティミー。

「ファイナルではジョーカー以降、すべてのコーナーで100%正しいドライビングをする必要があった。いくつかのラップでラッキーがあったかもしれないが、再び素晴らしい週末を過ごしたヨハンを最後に倒すことができて素晴らしい結末になったよ」

 一方、開幕のピンチヒッター起用から好成績を収め続ける2016年王者マティアス・エクストローム(アウディS1 RXクワトロ/KYBチームJC)に対し、直接対決で抜き去ったニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20 RXスーパーカー/GRXタネコ)が4位に入り、久々にファイナル進出を果たしたアンドレアス・バッケルド(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/モンスターエナジー・GCK RXカルテル)が6位でフィニッシュしている。

土曜予選ヒートで速さを見せ、最初のTQ(top qualifier)となったのは、今季の本格シリーズ復帰からすでに3勝を飾っているヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー/クリストファーソン・モータースポーツ)
久々にファイナル進出を果たしたアンドレアス・バッケルド(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/モンスターエナジー・GCK RXカルテル)
わずかなミスも犯さない完璧なラップを続けたティミーが、クリストファーソンを0.5秒差で下して2020年4人目のウイナーとなった

■第8戦ではクリストファーソンが悠々のトップチェッカー

 続く日曜日の第8戦、まず予選で主導権を握ったのは前日にマシントラブルを抱えていたことを明かしたエクストロームで、予選ヒート総合5位に終わったクリストファーソンを尻目にTQを獲得する。

 しかしプライベーター・フォルクスワーゲンはここでも強さを発揮し、セミファイナル1でエクストロームを抑えて首位通過を果たすと、セミファイナル2を制したバッケルドと並んで2番手からファイナルへと臨む。

 するとスタート直後の1コーナーでバッケルドとの位置取りで勝負となったクリストファーソンは、ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカーとのサイド・バイ・サイドに競り勝ちトップを奪取。このバトルでイン側に巻き込んでウォールにヒットしたバッケルドは、後続のロビン・ラーソン(アウディS1 RXクワトロ/KYBチームJC)にも激突され、ここで2台そろってレースを終えてしまう。

 序盤3ラップで首位を守ったクリストファーソンがジョーカー消化に向かうと、代わって首位に立ったティミーがスパート。前日とは立場が入れ替わり、2019年王者のプジョーが最終ラップで義務付けのルートへと飛び込んでいく。

 すると悠々のタイム差で首位を取り戻したクリストファーソンがトップチェッカーを受け今季4勝目を手にし、2位にティミー、3位に今季初表彰台のアントン・マルクランド(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/GCKビルシュタイン)が続くポディウムに。エクストロームは再びマシンの不調に見舞われ、4位に終わっている。

「素晴らしいスタートが切れたが、アンドレアスがドロップバックするのが見えた。その光景を見るまで、彼がそこにいることに気付いていなかったんだ。彼はもっと後ろにいると思っていたし、正直その時点では何もできなかった」と、決勝スタートの状況を語るクリストファーソン。

「今日はティミーに冗談を言ったんだ。『昨日の君は4本のフレッシュタイヤだったけど、僕は2本で倒してみせるよ』ってね。今日は全般的にトラフィックに悩まされたが、ファイナルでは良いペースを見せられて安堵している」

 続くWorldRX第9戦はシーズン初のレギュラーフォーマット戦に戻り、11月21~22日の週末にベルギーの名門トラック、スパ・フランコルシャンの特設会場で争われる。

「バルセロナと兄の組み合わせは、魔法のようだ」と、勝者の兄を称えた3位のケビン・ハンセン
日曜第8戦のファイナル、1コーナーではアンドレアス・バッケルド(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/モンスターエナジー・GCK RXカルテル)、ロビン・ラーソン(アウディS1 RXクワトロ/KYBチームJC)が姿を消すことに
2017、18年王者ヨハン・クリストファーソンは今季4勝目。3位のアントン・マルクランド(ルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカー/GCKビルシュタイン)が今季初表彰台を手にした

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