「13勝」と「10完投」はどちらがすごい? 巨人菅野vs中日大野雄、沢村賞争いの行方は…

中日・大野雄大(左)と巨人・菅野智之【写真:荒川祐史】

昨季は山口と有原が候補に残るも完投数の投球回がネックに…

中日の大野雄大投手が22日、本拠地でのDeNA戦で2試合連続の完封勝利を挙げた。白星を2桁の10勝に乗せ、今季18先発のうち実に10完投で6完封を誇る。一方、巨人・菅野智之投手はここまで両リーグ13勝を挙げ、最多勝を手中におさめつつある。今季も残り15試合前後となる中、気になるのは投手最高の栄誉である沢村賞の行方。120試合に短縮された異例のシーズンで、有力と目される2人はどうシーズンを締めくくるのか――。

沢村賞の基準となるのは、15勝、150奪三振、10完投、防御率2.50、200投球回、25試合登板、勝率6割の7項目。近年は投手の分業制が進んだため、2018年度からは選考基準に7回で自責点3点以内という独自のQS(クオリティ・スタート)率も補足項目として導入されている。

近年の選考を見てみると、2017年から2年連続で菅野が受賞。18年は全7項目をクリアしての文句なし選出だった。過去には4項目を満たしての受賞もあるが、昨年は19年ぶりの該当なし。巨人の山口俊(現ブルージェイズ)と日本ハムの有原航平がともに4項目を満たすも選出されなかった。完投数は有原が1、山口がゼロで、ともに200投球回には達しなった点も考慮された。

新型コロナの影響で異例のシーズン、従来の基準は当てはまらない?

この選考基準が今季に限っては当てはまらないという点も、より選考の行方を混沌とさせそうだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕は3か月遅れ、120試合に短縮。交流戦はなくなり、過密日程を強いられた。中日、巨人ともに残り15試合前後となる中、ともに残されたマウンドは2~3試合程度。現状の成績を比べても、熾烈を極めている。

○菅野智之(巨人)
17試合13勝1敗、防御率2.02、3完投(3完封)
120回1/3、113奪三振、勝率.929

○大野雄大(中日)
18試合10勝5敗、防御率1.79、10完投(6完封)
135回2/3、137奪三振、勝率.667

勝利数と勝率では菅野が大きくリードする一方、他の成績では大野雄が上回る。昨年のケースを踏まえて完投数や投球回を考えると、大野雄にも可能性が出てきてもおかしくない。試合数が少なくなったにもかかわらず、従来の基準である「10完投」を達成していることが、どこまで重要視されるかもポイントになりそうだ。

セ・リーグでは他に、阪神の西勇輝投手が勝利数、防御率、投球回で3傑に入っており健闘を続ける。一方パ・リーグでは楽天の涌井秀章投手が11勝を挙げているものの、1完投、防御率3.20と物足りない基準も。現状では菅野vs大野雄の“一騎討ち”となる中、残り登板での内容も大きく左右してきそうだ。(Full-Count編集部)

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