パワハラ防止法の実務への影響は? 日弁連がシンポジウム開催

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日本弁護士連合会(日弁連)は10月19日、シンポジウム「職場における各種ハラスメントと実務対応」をオンラインで開いた。今年6月に施行された労働施策総合推進法(パワハラ防止法)は、企業がパワハラ防止措置を講じることなどを義務づけた。労働者側として参加した佐々木亮弁護士は、「中小企業では、窓口の運営方法がうまくいっていない事例がある」と指摘した。

シンポでは、まず使用者側・労働者側の弁護士らが、同法施行の影響を講演した。使用者側の中井智子弁護士は、同法で、ハラスメントの定義が明確化された点について、「パワハラの定義によって、業務上必要な指導まで控えるようになっては本末転倒」とする一方で、マタニティハラスメントについては、「ジェンダーハラスメントも含めて広く控えるべきだ」と指摘した。

同法の改正を受けた厚生労働省の指針では、使用者側がパワハラ防止措置について、労働者側へのアンケート調査を行うことなどを求めている。佐々木弁護士は講演の中で、「実効性をもたせるための労働者側最大のポイント」と評価した上で、「(使用者側は、パワハラ防止措置の)運用状況の的確な把握や、必要な見直しの検討などに務めることが重要だ」と指摘した。

パネルディスカッションでは、ハラスメントの防止に向けた実務対応について話し合われた。パワハラに関する弁護士への相談内容の傾向については、使用者側、労働者側ともに精神的な攻撃が多い点で一致。中井弁護士は、「相談されるケースは、(パワハラに当たるか)微妙なケースが多いため、経緯を細かく聞いて該当性を判断することが多い」とした。佐々木弁護士は、「人間関係からの切り離しなど、小学生のいじめかと思うことがいろんな職場で行われている」と指摘した。

使用者側に設置が義務づけられた相談窓口について、佐々木弁護士は「中小企業では、窓口の運営方法がうまくいっていない」と指摘。中井弁護士は「中小企業は、社長の権限が強いため相談窓口の位置づけを理解していない」と原因を分析した。パネラーとして参加した連合の井上久美枝総合政策推進局長は「相談窓口が男性の管理職ばかりでは、相談したくても相談できない労働者がいる。(使用者側には男女の比率などが)公平な窓口を作ってほしい」と呼びかけた。

(画像/PIXTA)