旅客収入減を救うJR東日本版「鮮魚列車」 普通列車でも展開目指す

©Traicy Japan Inc,

新幹線などによる列車物流に取り組むJR東日本は、在来線の特急列車で関東近郊の鮮魚を都心に輸送する実証実験を始めた。品川駅では10月23日、茨城・大洗で当日に水揚げされた生しらすが常磐線の特急列車で到着し、駅構内の鮮魚店で販売された。

JR東日本は以前から列車物流の実証実験を行っているが、昨今の移動需要減少を受け、旅客収入に代わる収入源として貨客混載事業への取り組みを積極化。今年に入ってからは、新幹線だけでなく在来線特急列車を活用した物流実験も始めている。

手紙や小荷物を運ぶ貨客混載事業は国鉄時代から存在していたが、JR東日本が取り組むのは「鮮魚」の輸送。新幹線や特急の「速達性や定時性」に着目し、鮮度感のあるものを運ぶことで列車物流のメリットを最大限に活かそうと考えた。

9月には特急「踊り子」号で静岡・下田産の伊勢海老やキンメダイを東京駅に輸送する実験を実施。同駅内の寿司店で提供し、好評を得たという。そして今般、茨城県産の生しらすが常磐線の特急列車で品川駅に運ばれてくると聞き、到着の様子を見に行った。

▲常磐線特急列車に使用されるE657系(資料写真)

今回の実証実験では、茨城県の大洗港で午後1時頃に水揚げされた生しらす約8キロを、勝田駅で品川行きの特急「ときわ76号」に積載。午後3時22分に品川駅に到着し、同駅と五反田駅で午後4時頃から販売する。店頭に並ぶまでの時間は約3時間と非常に早い。

生しらすは小売り用に100グラムずつビニール袋で包装し、氷を詰めた発泡スチロール4箱に分けて梱包。「ときわ」号には車内販売がないため、5号車の車内販売準備室を積載スペースとして利用する。しっかり梱包すれば、魚の臭いが漏れる心配はないという。

午後3時22分。品川駅に「ときわ」号が到着し、乗客の降車が終わると、生しらすの入った発泡スチロールの箱がスタッフの手で一つずつ運び出された。台車に載せられた生しらすは、駅構内の商業施設「エキュート品川」内の鮮魚店「サカナバッカ」に運ばれ、パック詰めされて店頭に並んだ。保冷用の氷が溶けた様子もなく、鮮度は保たれているようだ。販売価格は100グラム1パック500円。陳列されるやいなや、手に取る買い物客が見られた。

新潟港で競り落とされた甘海老やズワイガニも同日中に上越新幹線で東京駅に運ばれており、生しらすと共に店頭に並ぶ。店頭で事前に予約した客に対しては、配送サービス「ピックゴー」を活用して自宅まで配達するというサービスも今回から始めた。こちらは実証実験中のため、現段階では新潟発の商品のみが対象となっている。

JR東日本はこの貨客混載事業について、今後は普通列車も含めて他線区への拡大を進めていく方針だ。個人宅への配送サービスについても利便性を高め、最終的には従来のトラック輸送と変わらないコストでの事業展開を目指すとしている。

▲特急「ときわ」号から生しらすが運び出される様子

▲台車に載せられ、業務用エレベーターで運ばれる

▲特急「ときわ」号で品川駅に到着した大洗産の生しらす

▲品川駅構内の鮮魚店「サカナバッカ」

▲店頭に陳列される生しらす

▲特急「ときわ」号で品川駅に到着し、販売される大洗産の生しらす