教育の「ゴール」は何か?

私(船津徹)の新著『すべての子どもは天才になれる、あなた(親)の行動で。』が発売されました!子どもの個性を才能に変える家庭教育について紹介する一冊です。以下「まえがき」から抜粋をお届けします。

今、日本だけでなく世界の先進国の関心事は「教育」に向かっています。世界中の親が、子どもによりよい教育を受けてもらおうと躍起になり、情報を集め、環境を整えようとしているのです。

そもそも、教育の「ゴール」とは何でしょうか。何をもってして「教育は成功」とすればよいのでしょうか? 有名大学に入ることでしょうか? 名の知れた一流企業に就職することでしょうか?それとも高い年収を得ることでしょうか?

さまざまな答えが浮かんでくると思いますが、私は教育のゴールを「子どもが確信を持って、自分の人生を選択できるようにすること」と定義しています。

教育のゴールは、受験や就職などではないのです。当然、親が望む進路を歩んでもらうことでもありません。社会に出ていく子どもが、「何があっても大丈夫だ」という確信を持ち、自分の人生を突き進んでもらう。そのための準備を整えることが、教育のゴールなのです。

子どもの将来を決めるのは、親(あなた)

私はこれまで25年にわたって日本、アメリカ、中国で子どもの教育に関わってきました。下は1歳から上は18歳まで、4200名以上の子どもたちと、その親たちを見てきたのです。その中で、たとえば幼い頃はキラリと光る優れた才能を見せていた子が、学年を重ねるにつれごく平凡な能力の持ち主になり、やりたいことが見つからずに何となく生きている姿。反対に、ごく普通の才能の持ち主だった子が社会的成功を収め、壮大な夢に向かって突き進んでいる姿。様々なタイプの子どもが育つ過程と、その親の様子を見てきました。一体、この「差」はどこから生じるのでしょうか?

その決定的な要因は、血筋や遺伝などではありません。また、子どもが生まれ持った素質で決まるものでもありません。その要因は何よりも「親のあり方(行動)」なのです。

この世に才能のない子など、一人もいない

「うちの子は才能がない」「パッとしない」などと言う親がいますが、それは違います。この世に才能のない子など、ただの一人もいません。誰もが輝かせるべき才能の芽を持っているのです。他の子とは違ったところ、目立っているところ、興味の強いこと、必ず一つ以上は持っています。

しかし、親がその芽に気付いていない、あるいは、子どもの本当の特性を無視した教育を続けていると、子どもは自分らしさをどんどん失っていくのです。

私自身、数々の「天才」と呼ばれる子どもを見てきましたが、小さな時から圧倒的に秀でている、という子どもはほとんどいません(先天的に天才という子どもは体感としては500人に1人くらいです)。多くの場合、家庭での過ごし方で後天的に才能を開花させ、結果として「天才」と言われるようになるのです。

優秀な子を育てる親の"共通点"

優秀な子どもを育てる親には、驚くほどの共通点があります。不思議なことに、住む国や地域、親の経済力や学歴、人種などは関係ありません。例えば、

・ 勉強しなさいと言わない

・ 勉強は学校や塾任せにせず、家庭で親が教えている

・ どんな小さなことも、子どもに選択をさせている

・ 習い事では、親が子どものレベルの底上げをサポートしている

・ 子どもに考えさせる質問をしている

・ ボードゲームやカードゲームで遊んでいる

・ 本を好きにさせ、興味を引き出している

などといったことです。実はこれらは科学的に見ても理にかなっていることであり、根拠も明確にあるのです。どんな子どもにも個性や特性があり、親がそれを信じていけば必ず才能は開花するのです。

船津徹 (ふなつ・とおる)

TLC for Kids代表 教育コンサルタント

1990年明治大学経営学部卒業。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。 しちだ式教材制作に従事。2001年ハワイ州ホノルルにてグローバル教育を行う学習塾TLC for Kidsを開設。 2015年にTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校開設。2017年上海校開設。 アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上のバイリンガルの子どもの教育に携わる。 イエール大学、ペンシルバニア大学など米国のトップ大学への合格者を多数輩出。 著書に「すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。」(ダイヤモンド社)、「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)。

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