美術王国、厚い土壌 日本伝統工芸展金沢展

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 第67回日本伝統工芸展金沢展(日本工芸会、北國新聞社など主催)は23日、金沢市の石川県立美術館で始まった。陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門・計341点が並んだ会場では、県内在住の人間国宝9氏を含む地元作家の秀作がひときわの存在感を放ち、美術工芸王国の厚い土壌を感じさせた。

 同展は金沢出身の漆芸家・松田権六(ごんろく)氏(文化勲章受章者、蒔絵(まきえ)人間国宝)が中心となって1954(昭和29)年に第1回展が開かれ、戦後以降の工芸文化を牽引(けんいん)してきた。今展では石川から都道府県別で最多となる62人が入選し、3年連続でトップを維持した。

 東京都知事賞を射止めた中田博士さん(陶芸、小松市)の「真珠光彩壺(しんじゅこうさいつぼ)」は、つぼみをモチーフにしたふくよかな造形が来場者の目を引き付けた。日本工芸会奨励賞となった村上浩堂さん(金工、金沢市)の「象(ぞう)嵌花器(がんかき)『連樹(れんじゅ)』」は、高度な象嵌技法で森の奥行きが表現されている。県内在住の人間国宝による格調高い作品も、当地の技術レベルの高さを印象付けた。

 今年は感染症対策として会期中の作品解説を行わない代わりに、作家が部門ごとに日替わりで会場に常駐する。24日は染織部門となる。11月3日まで。入場料は一般700円、大学生400円、高校生以下は無料。