阪神、止まらない“失策癖” 名スコアラー指摘「キャンプで何を練習していたのか」

阪神のジェフリー・マルテ【写真:津高良和】

12球団断トツのチーム失策79 昨季唯一の3桁102エラーにも懲りず

■巨人 5-4 阪神(23日・東京ドーム)

阪神は23日、敵地・東京ドームでの巨人戦で、ジェフリー・マルテ内野手が2回に一塁手ではセ・リーグ史上初の1イニング3失策。5回の1失策を合わせ、一塁手ではプロ野球史上初の1試合4失策を犯した。試合は終盤に追い上げたものの、4-5で敗戦。巨人で2007年まで22年間にわたって名スコアラーとして鳴らした三井康浩氏は、阪神が宿敵巨人に13.5ゲームの大差をつけられている理由が浮き彫りになっていたという。

これではエースの西勇もたまったものではない。マルテは2回、丸に先制ソロを浴びた直後の一死二塁で、田中俊が放った正面のゴロを体に当てて大きくはじいた上、あわてて一塁へ背面トスを試み、これが大きくそれてファウルゾーンを転々とする悪送球に。二塁走者・若林の生還まで許し、ダブルエラーが記録された。さらにこの回、1死一、三塁でも、今村のセーフティースクイズを捕球しきれず、3点目を献上。5回には無死一塁から、吉川尚の二盗の際、捕手・梅野が悪送球で三塁まで進塁を許し、直後の松原の一ゴロをまたもやマルテが弾き、この回の2失点につながっていった。

阪神の守備が酷いのは、今に始まったことではない。今季チーム失策は、この日の「5」を合わせて「79」に上り12球団断トツ。逆に最も少ない巨人の35失策と比べると、倍以上にあたる。昨季は12球団で唯一失策数が3桁(102)に達したが今年もその流れを止めることができない。

「外国人選手はあまり特守などには取り組まないものですが、これは猛省してもらわないと」

三井氏は「守備力の差が、巨人とのゲーム差にそのまま現れています。マルテの守備はプロとしてはいかにも雑で、春季キャンプで何を練習していたのかという話になる。外国人選手はあまり特守などには取り組まないものですが、これは猛省してもらわないと困りますね」と指摘した。

巨人との差を見せつけられたのは、守備だけではなかった。打っても、今季3度目の対戦となった先発の左腕・今村に対し、7回までマルテのソロによる1点に抑えられた。8回に疲れの見えた今村から原口が2点二塁打、9回にも守護神デラロサの乱調に付け込んで1点を奪ったが、反撃が遅すぎた。

三井氏は「この日の今村はとにかくストレートが走っていて、相手打者を追い込んでからのスライダー、フォークも有効でした」と分析。「僕が阪神のスコアラーであれば、ストレートが多い傾向が明らかだったので、初球から打てるストレートは1発で仕留めるつもりで、コンパクトなスイングでとらえること、できればバットを短く持つことを提案したと思います」と言う。

しかし、この日の阪神打線は「“スコアラー目線”で見ると、残念ながらブンブン振るばかりで、具体的な対策を持って打席に立っているような選手は見当たりませんでした。このあたりにも、巨人との差を感じます」とキッパリ。投打とも選手個々の力量には、それほど差があるとは思えない。これだけゲーム差がつく理由は、試合に臨む姿勢にあるとみられても仕方がないようだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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