30年間愛される名曲「糸」 繊細な歌詞と優しい歌声でリスナーを魅了する中島みゆき

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船戸㊧とマーティ

【マーティ&Xジャパリ団 昭和・平成ソングって素敵じゃん】昭和生まれのアラフォー~アラ還が懐かしむ歌手や楽曲を、平成生まれのアイドルと外国生まれのミュージシャンが語る連載。メディアミックスプロジェクト「けものフレンズ」から飛び出した「×(ばってん)ジャパリ団」編の最終回。前回に続いてマーティ・フリードマンと船戸ゆり絵が中島みゆきについて考察します。名曲「糸」が発表から30年近くたっても人気が衰えないのはなぜ? マーティの分析は? 曲を聴きながら読んでみてください。

【中島みゆき論2】

――マーティさんは前回、中島みゆきの曲を絶賛していました。どういうところに魅力を感じますか

マーティ メロディーのセンスとドラマチックな作り方です。彼女はきっと、人を泣かせようと思いながら曲を作ってますよ。メロディーも詞もアレンジも、転調もメリハリも、聴いていると感動して鳥肌が立ちます。

船戸 わかりますー!
マーティ こういうのは偶然できるものじゃないんです。「人を感動させよう」という目的を持って作らないとできません。

――中島さんの曲には、抑え気味に始まって、だんだん盛り上がり、サビで“グッ”とくるタイプもけっこうあります

マーティ ドラマチックに展開しますよね。そういう作り方も簡単じゃないです。曲をうまく盛り上げていくのは意外に難しいんです。

――船戸さんがよく聴く曲は

船戸「地上の星」(2000年)です。♪風の中のすばる~って、ノリノリで歌いたくなるんです。家で大きな声で歌ってます(笑い)。

――マーティさんは

マーティ タイトルを知らない好きな曲もいっぱいあります。ピンとくるのは「糸」(1992年)です。この曲は世界的なクオリティーですよ。このレベルの曲を作れるということは、同じような名曲を他にもいっぱい作れるってことです。“一発屋”的に偶然できる曲じゃないですから。

――「糸」は30年近く前に発表され、98年にシングルカットされた古い曲です。しかし人気が衰えないどころか、年を追うごとにファンを増やしている印象です。この曲はなぜ愛され続けるのでしょう

マーティ まず優しいメロディーです。

船戸 優しいし、悲しい時に聴くと、これ以上悲しいことはない!と思わせてくれます。なぜかはわからないけど。

――気持ちを上げてくれるんですね。あの「縦の糸はあなた 横の糸は私」という歌詞も刺さるんじゃないですか

船戸 そう思います。

マーティ 歌詞の力ももちろんあると思うけど、僕は母国語が日本語じゃないから、歌詞のニュアンスが時々スルーになっちゃうんですよ。「糸」はメロディーと、彼女の繊細な歌い方がとても素晴らしいです。彼女は時々、お母さんが赤ちゃんに歌っているような優しい歌い方になるんですよ。夏川りみさんもそうなんですけど、そういう繊細な歌もこの曲の魅力です。

――ゆったり流れていくような曲調で、曲の中に大きな盛り上がりはありません。なのになぜか心をつかまれます

マーティ「糸」を初めて聴いた時に、懐かしいような印象なかったですか? 絶対聴いたことないのに。こう思わせるのは、いい曲の証拠なんです。人は過去の記憶と重なる部分があると気持ちよくなります。彼女はそういうなじみやすいメロディーやコード進行、展開で新しい曲を書けるマスターです。それに彼女は、書いた曲と声で人の心をコントロールできる能力の持ち主ですよ。

――コントロールされていたのか…。最後に船戸さん、中島さんについて言っておきたいことは

船戸 中島さんって、重い感じの曲が多いけれど、ご本人はめちゃくちゃ明るくて、トークもあっけらかんとされている楽しい方だとうかがったことがあります。私たち「×ジャパリ団」も、そういうギャップを織り交ぜながら、うまく出していけたらいいなと思います。

☆…マーティ・フリードマン 米国・ワシントンDC出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍。「紅蓮華」「宿命」などをカバーしたギターインストゥルメンタルアルバム「TOKYO JUKEBOX3」が発売中。

☆…ばってんじゃぱりだん けものフレンズのブラックバック役・未来みき、タスマニアデビル役・小泉萌香、オーストラリアデビル役・船戸ゆり絵の3人によるユニット。キュートな見た目からは想像できない、ハードロックな楽曲で客席を盛り上げる。デビューアルバム「×・×・×」が発売中。収録曲「どきどき黙示録」はマーティが作曲。自らギターを弾いている。