九州新幹線長崎ルート 佐賀県の主張 「フル」受け入れられない 長崎・佐賀両新聞 社長対談

<佐賀新聞社長・中尾>
 九州新幹線長崎ルートの新鳥栖―武雄温泉間について「これまで新幹線整備を求めたことはなく、フル規格は受け入れられない」という佐賀県の主張は首尾一貫している。もともと在来線をそのまま利用することが着工の前提だった。
 国は、フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)に関し、責任を持って実用化を推進すると約束していたが、2018年7月に導入を断念。理由は「開発目標としていた時速270キロでは山陽新幹線への乗り入れが困難」「コストが高い」など当初から懸念されていた内容だった。
 19年8月には与党検討委員会が「フル規格での整備が適当」とする方針を決定したが、佐賀県の山口祥義知事は「FGTを断念したからといってフル規格で整備するのは筋が違う」と反発。特急が新幹線に置き換わり、在来線の利便性が著しく低下することや膨大な財政負担を懸念する。
 原則として、新幹線整備は財政負担や在来線に関する不利益を受け入れてでも整備したいと地元が手を挙げて進められるもので、山口知事は「佐賀が大きなリスクを負ってまで対応しなければならないものではない」と強調している。

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