ベッツはメジャー昇格前にブリュワーズ移籍の可能性があった!?

レッドソックス時代の2018年にMVPを受賞し、今年2月のトレードでドジャースに加入したムーキー・ベッツだが、その才能をいち早く見抜いてメジャーデビューより前にトレードで獲得しようとした男がいる。ブリュワーズで長年にわたってゼネラルマネージャー(GM)を務めたダグ・メルビンだ。メルビンは2013年途中にレッドソックスがブルペンの補強を試みた際、フランシスコ・ロドリゲスを放出してベッツを獲得しようとした。

ベッツは2011年のドラフトでレッドソックスから5巡目指名を受けてプロ入り。プロ1年目の2011年はルーキー級で1試合のみの出場に終わり、翌2012年はA-級で71試合に出場して打率.267(251打数67安打)、8二塁打、1三塁打、0本塁打、31打点、20盗塁、OPS.658をマーク。30三振に対して32四球を記録するなど、当時から光るものはあったが、長打力に欠ける内野手の1人に過ぎず、トップ・プロスペクトとして高い評価を得ていたわけではなかった。

当時レッドソックスでGMを務めていたベン・チェリントン(現パイレーツGM)は「ベッツを欲しがったのはメルビンが初めてだった」と述懐する。しかし、チェリントンはメルビンからのオファーに対して首を縦に振らなかった。ベッツはその年、メキメキと頭角を現し、A級とA+級で合計127試合に出場して打率.314(462打数145安打)、36二塁打、4三塁打、15本塁打、65打点、38盗塁、OPS.923の好成績をマーク。その年の終わりには正真正銘のトップ・プロスペクトとなった。

チェリントンによると、メルビンがベッツを要求して以降、「どのチームも全てのトレードでまず最初に彼を要求してきた」という。ひょっとすると、メルビンがベッツを要求するのがあと数ヶ月早ければ、メルビンはベッツの獲得に成功し、ベッツはブリュワーズの一員となっていたかもしれない。ベッツが2012年から2013年にかけて急激に成長を遂げてしまったことがメルビンにとっては誤算だった。

レッドソックスとのトレード交渉が不調に終わり、メルビンはニッキー・デルモニコとのトレードでロドリゲスをオリオールズへ放出。デルモニコは注意欠陥障害の治療のために処方されたアデロールの依存症となり、治療に専念するためにブリュワーズに解雇をリクエスト。その後、ホワイトソックスでプレーを続行して2017年8月にメジャーデビューしたが、メジャー定着を果たせないシーズンが続いている。

なお、ベッツはメルビンが獲得を試みた翌年の2014年6月にメジャーデビューし、ポジションを内野から外野に移して現在に至るまで素晴らしい活躍を続けている。

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