故荒川秀男さんの絵画 ポケット小冊子作製 城山小原爆殉難者慰霊会 長崎市に300冊寄贈

被爆後の学校や児童の様子を描いた絵画25枚を収めた「ポケット小冊子」=長崎市役所

 長崎市立城山小の同窓会などでつくる城山小原爆殉難者慰霊会(本田魂会長)は23日、被爆当時、旧城山国民学校(現・市立城山小)の教頭だった故荒川秀男さん(1904~91)が被爆後の学校や児童の様子を描いた絵画24枚を収めた縦19センチ、横11センチの「ポケット小冊子」を作製し、300冊を市に寄贈した。
 同会では当初、8月9日から来年3月ごろまで、北九州市や東京都新宿区などの4カ所で荒川さんの絵画展を開く予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止になった。開催できなくても被爆の実相を伝えようと、小冊子を作製、10月下旬に完成した。
 持ち運びやすさを重視し、スーツの胸ポケットに入る小冊子型を採用。同校の児童が廃虚となった町をはだしで走って通学する様子の絵には、「雪の日も毛布や着物などをかぶって登校していました」などの説明文が添えられている。
 贈呈式で田上富久市長は「あとに引き継げるものが残ることは大きい」と話した。本田会長は取材に「75年前があって今の平和がある。(手に取った人に)こんな悲惨なことがあったことを、忘れてほしくない」と力を込めた。

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