ひとり親世帯に食材配布 川崎市のNPO法人 コロナ禍で食堂運営から切り替え

コメなどの寄付者に感謝のメッセージを寄せる生徒(左)=川崎市多摩区の長尾いこいの家

 NPO法人川崎寺子屋食堂(川崎市多摩区)が運営する寺子屋食堂の「食材配布会」に支援の輪が広がっている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で集合活動を中止した4月以降、ひとり親家庭向けに月2回の配布会を実施。当初、1世帯当たりへの配布は肉や野菜それぞれ2キロ程度だったが、7月以降はコメ10キロも加わるなど充実してきた。

 寺子屋食堂は3年前から、同区の「長尾いこいの家」と「菅いこいの家」を利用し、平日午後5時から週4回開いている。主に母子家庭の小中高生が大学生やボランティアから学習指導を受け、夕食を一緒に囲んでいる。運営費は寄付金などで賄っているという。

 市によると、4月1日時点で市内のひとり親世帯は約7千世帯。母子家庭の生活保護受給世帯は減少傾向にあるものの、依然として約1100世帯(9月時点)に上るという。

 NPO法人の活動は、コロナ禍で施設の閉鎖などもあり、3月から5月末までは休止に。しかし「食事に困っている母子家庭はいる」(山縣和彦理事長)現状を受け、これまで弁当代としてきた資金や寄付を充てるなどして食材の配布に切り替えた。当初は肉や野菜を配っていたが、取り組みを知った市民らからコメや缶詰などが寄せられるようになったという。

 6月からは、3密(密閉、密集、密接)回避のため、中高生を対象にインターネット会議システム「Google Meet」を活用したオンライン授業も始めるなど、手探りで学習支援も続けている。

 食材配布は、臨時休校中で学校給食がなくなり昼食に困っていた中学生たちのセーフティーネットに。今月21日の配布会にも中学生らが訪れ、寄付者への感謝のメッセージを記してコメや肉、野菜などを受け取った。会場を訪れた女性は「コメの支給は助かる」と話していた。

 山縣理事長は「集合して活動できないのはさみしいが、需要がある限り配布会は続けていきたい」と意欲を見せている。

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