西武 001系 Laview ブルーリボン賞受賞式開催 「完成度が極めて高い魅力ある車両」は侃々諤々の議論のすえ生まれた

001系Laviewブルーリボン賞受賞式の様子

2020年10月25日(日)、西武鉄道「西武球場前駅」において、001系Laviewの2020年ブルーリボン賞受賞式が開催されました。

001系Laview外観(2020年9月撮影)

001系Laviewは今までに見たことがない新しい車両を目指し、西武鉄道の次世代のフラッグシップトレインとして製作された新型車両です。昨年2019年3月16日にデビューを果たし、観光特急・通勤特急として日々運行しています。

愛称の「Laview」には三つのメッセージが込められています。「L」は「luxury、リビングのようなくつろぎの空間」、「a」は「arrow、矢のようなスピード」、そして「view」は文字通り大きな窓から見える大パノラマ眺望のこと。電車の固定概念にとらわれない、建築とプロダクトの間のもう一つの居住空間をイメージし、世界的なデザイナーである妹島和世氏がデザインを監修しました。

司会進行は女子鉄アナウンサーの久野知美さん。隣にあるのはLaviewの運転席。背面のパネルはブルーリボン賞受賞を記念してオリジナルでデザインされたもので、Laviewの特徴である黄色い座席と大きな窓から見える青い空をイメージ。右から左へ流れるような青いカーブのモチーフを入れることで、自然豊かな沿線を走る疾走感と空気感を表現した。

西武鉄道の車両がブルーリボン賞を受賞するのは、1970年のレッドアロー以来50年ぶりとなります。同社の後藤高志取締役会長は、鉄道事業が時代の変化にキャッチアップしていく必要性について述べ、これを新型車両の製造を機に実現するため、2008年の30000系から車両部だけでなく若手社員・女性社員もプロジェクトチームに加えてきたと語りました。

車両デザインを手がけたのことない妹島氏にLaviewのデザインを依頼したのも、西武の次の時代を担う新しい価値を生み出すためには外部の声が必要という判断から。最終的なデザインの決定に至るまでには喧々諤々の議論が積み重ねられ、結果として高い評価を受ける優れた車両が生まれました。

受賞式では鉄道友の会 須田寬会長も祝辞を述べ、国鉄時代に技術系の先輩から聞いたという車両の三つのデザインについて語りました。三つのデザインとは「外装」「内装」「床下」です。列車はやや高いところを通るケースが多く、そういう場合に目につきやすい「床下」も疎かにはできません。

001系Laviewの内外装に関してはいうまでもなく、機器も最新の技術を導入したコンパクトなものを採用し、補修の便も考えながらレイアウトして、外から見てもいい姿にまとまるようにデザインされています。須田会長は「そういった三つのデザインがほぼ完成形に近いものとして高く評価された。このように聞いております」とコメントしました。

鉄道友の会 須田寬会長

また鉄道友の会 加藤幸弘選考委員長も登壇し、001系Laviewは投票の結果支持率47.3%と、得票数において2位(21.7%)の2倍以上の評価を受けたことを述べました。外観内装ともにコンセプトを高いレベルで具現化し、最新水準の機器類を積極的に採用して信頼性の向上・環境負荷の低減を図り、現在の鉄道車両として完成度が極めて高い魅力ある車両にまとめられていたことから、会員からの投票で高い支持率を獲得し、選考委員会においても高く評価されたとのことです。

鉄道友の会 加藤幸弘選考委員長
記念盾・表彰状贈呈の様子

その後は車体ロゴの除幕式が行われ、001系Laviewのブルーリボン賞受賞記念オリジナルロゴが公開されました。式典に参加した001系Laviewが12時26分に西武球場前駅を発つまで、会場はLaviewやレッドアロークラシックの姿を撮影しようとするファンらで賑わっていました。

車体ロゴ除幕の瞬間
ロゴの説明をする妹島和世氏
会場は001系Laviewとレッドアロークラシックの並びを撮影する鉄道ファンらで賑わった

文/写真:一橋正浩

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