円の行方、ドルの行方 第260回 レンジ相場を凌ぐ

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相場には、フロー(資金の流れ)のある相場と、フローのない相場があります。

これは、チャートを見れば、一目瞭然です。

フローのある相場は、一方向に向かうトレンド相場です。

一方、フローのない相場とは、方向感のないレンジ相場です。

それでは、大きなフローを作るのはだれかと言えば、大口の投資家です。

ここで言う大口の投資家とは、政府系ファンドとか、年金運用のペンションファンドとか、生命保険会社に代表される機関投資家とか、中央銀行などです。

彼らが動くときは、1月とか、4月とか、9月といった定例的に投資方針を決めて動くときと、大きなイベントの結果を見て投資判断をするときです。

いよいよあと1週間程に迫った米大統領選は、まさに投資家がその結果を見て投資判断をする一大イベントです。

彼らは、大統領選前は動かず、そのためフローは発生しません。

つまり、相場はレンジ相場になります。

それでは、フローのないマーケットに残っているのはだれかと言えば、主に投機筋です。

投機筋には、宿命があります。

売ったら、必ず利食いか損切りのために買わなくてはならない。

買ったら、必ず利食いか損切りのために売らなくてはならないという、新規売買と反対売買がペアになっているということです。

フローのない相場でも、投機筋が売ったり買ったりすれば、必ずその反対売買をやらなくてはなりません。

特に、マーケットのポジションが一方に偏るとその反動は大きくなります。

大統領選の前ともなれば、皆様子見となり、マーケットはスカスカになっていますので、マーケットのポジションが大きく偏れば、相場は簡単にオーバーシュート(行き過ぎ)します。

そのため、簡単に損失を出します。

そして、損を取り戻そうとすればするほど、深みにはまる蟻地獄のような相場になります。

こうした相場で、どうすればよいかと言えば、極力トレードをしないことです。

指の間から、せっかく稼いだ利益がさらさらと漏れていかないようにするためには、休むということも大事なトレードです。

大統領選で結果が明らかになれば、大口投資家も動き出し、トレンドのある相場になります。

それまでは、体力を温存し、ここ一番に備えておくことが重要です。

そのためには、凌ぎ方を知ることが大事です。

私は、マージャンはやりませんが、「強い人は、良い手が回ってこない時の場の流し方がうまい」とマージャン好きの人は言います。

これは、相場にも言えることで、よくわからない相場や自分が得意とする相場ではない時に、あえて勝負に出ないことが、体力を消耗させず、いずれやってくる自分が得意とする相場に向けて体力を温存することができます。

つまりは、凌ぎ方の巧拙によって、結果としての収益に差が出るということです。

知り合いのディーラーで、自他ともに認めるドル安円高派の人がいました。

その人の思考は、一貫してドル売り円買いでしたが、普通にその通りに、ドル売り円買いばかりしていたら、やられてしまいます。

しかし、その人は、決して大きな損失を出しませんでした。

なぜなら、これは、自分が得意とするドル安円高の地合いではないと判断した時、決して無理はせず、実質的にトレードはストップし、静観の構えを取っていました。

得意な相場か得意ではない相場かによって、その人のスタンスの切り替えは見事なもので、本当に感心したものでした。

また、よくあるケースでは、よくわからない地合いにも関わらす、やみくもに相場に飛び込んでしまうことです。

これは、はっきり言って、無謀です。

自分が得意とする地合いや大統領選といったビッグイベントの結果が出るまでは、待てるようになることが肝心です。

ストラテジスト 水上紀行