富山県知事に新田氏初当選 28万5118票獲得、現職石井氏破る

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初当選を果たし満面の笑みを見せる新田氏=25日午後8時45分、富山市太郎丸本町の事務所

 任期満了に伴う富山県知事選は25日、投開票され、無所属新人で前日本海ガス社長の新田八朗氏(62)が28万5118票を獲得し、初当選した。自民党県連の推薦を受けて5選を目指した現職の石井隆一氏(74)を破り、半世紀ぶりの保守分裂選を制した。戦後の公選知事では7人目、16年ぶりの新知事となる。無所属新人のNGO代表、川渕映子氏(71)は大差を付けられた。投票率は60.67%で、過去最低だった前回を25.33ポイント上回った。60%を超えたのは1996年10月以来。

 総務省官僚だった石井氏は4期16年の実績や国政とのパイプの太さをアピールしたが、多選批判を覆せず、変革を訴えた新田氏が広く支持を集めた。

 民間出身の知事は、大島村長や農協幹部を経て56年10月から4期務めた吉田実氏以来、2人目。姉の高橋はるみ自民参院議員は前北海道知事で、きょうだいで知事経験者となる。

 戦後の公選制による知事選は今回が21回目で、現職が敗れたのは初めて。自民が組織として推した候補の落選は、公認候補が吉田氏に敗れた56年9月以来。今後、保守分裂のしこりの解消や、県連組織の再構築が課題となる。

 新田氏は「民間出身」を前面に打ち出し、企業経営の経験を生かして経済対策や女性活躍の推進などに取り組むと主張。大票田の富山市を中心に、運動量で石井氏ら2人を上回った。

 自民県連に推薦を求めて得られなかったものの、県連の一部地方議員や森雅志富山市長、姉の高橋氏らが支援。自民支持層以外にも幅広い層の票を取り込み、県政の変革を求める有権者の受け皿となった。

 石井氏は自民県連と公明党県本部、国民民主党県連、連合富山などの推薦を受け、組織力を活用して選挙戦を展開。税収の偏在是正など4期の実績を訴えたが、新田氏に及ばなかった。

 川渕氏は3人で最も遅い8月末に立候補を表明。共産党県委員会や社民党県連の応援を受け、18歳までの医療費無料化や原発再稼働反対などを掲げたが、浸透できなかった。

 今回の知事選は、69年12月以来の保守分裂に、48年11月以来の女性立候補という近年にない構図となり、有権者の関心が高まった。新型コロナウイルスの感染拡大後、初めての全県対象の選挙となり、各投票所で感染防止策が取られた。

 新田氏の任期は11月9日から4年間。当選証書付与式が10月28日午後3時から県庁で行われる。

◆略歴◆  にった・はちろう 1958年、富山市生まれ。一橋大経済学部卒。第一勧業銀行(現みずほ銀行)を経て83年に日本海ガスに入社し、2000年に社長。18年から20年3月まで日本海ガス絆ホールディングス社長を務め、4月から同社相談役。日本青年会議所会頭、富山経済同友会代表幹事を歴任。姉は高橋はるみ参院議員。祖父は1948年から富山県知事を2期8年務めた高辻武邦氏。