自宅で樽からビールが注げる快感! 5L樽で“おうちビアパブ”堪能レポート

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ベランピングのお供に、オンライン飲み会でおそばに。東京・高円寺にあるブリューパブ「アンドビール」「お家で樽ビール(5L)」サービスを利用してみたら、“おうちビアパブ”という新しい世界が広がりました。コロナ禍を乗り切るために生まれた、アンドビールの樽配達サービスをレポートします。

サーバーは無償で貸し出し。5L樽が自宅に届く

「アンドビール」は、ビール醸造を担当する安藤祐理子さん、海外で習得したスパイスカレーをつくる安藤耕史さんのご夫妻が営むブリューパブです。2017年8月にパブをオープン、翌年の2月からビール醸造を始めました。定番を造らず、仕込みごとに新しいビールに挑戦するアンドビールは、国内の様々な生産者とつながり、素材の特徴を生かしたビールを造り続けています。

地元にもビール好きにも根強いファンを持つアンドビールは、コロナ禍でブリューパブ営業時間の変更を余儀なくされる中、5Lの樽ビールを一般消費者に販売するサービス「お家で樽ビール(5L)」を開始しました。なんと、サーバーも無償で貸し出してくれます。

「5Lということは、500mlの缶×10本分。我が家はビールをよく飲む大人の2人暮らし。単純に計算しても1人1日500mlを1本ずつの感覚で飲めば、5日間でカラになる。樽は冷蔵庫に入るサイズ(直径23cm、高さ24cm)、つまり樽を冷蔵保管しているビアパブとほぼ同じ条件であれば、劣化の心配もなく消費できちゃうのでは?」…そんな皮算用にて、筆者も「お家で樽ビール(5L)」を、申込みフォームから注文してみました。

アンドビールの近隣エリア(杉並区、練馬区、中野区、武蔵野市)は、同社が車で配送します。他の地域もクロネコヤマトクール便で送るため、全国津々浦々からの申し込みが可能です。購入可能なビールは、3、4種類。ビールの在庫は注文日によって変わり、価格は8,800円〜(税込)。2度目以降の注文は800円引きになります。

近隣エリアにおける料金および配送

近隣エリア以外の料金および配送

2020年10月26日現在、以下の3種類の注文を受け付けています。

■Tax Heaven (9,000円) [スタイル] Indian Pale Lager [アルコール度数] 6.5%
10月の酒税改正後、一発目のビール。華やかごくごく飲めるホップをたくさん使ったラガー。
■Picnic and beer (9,000円) [スタイル] Session IPA [アルコール度数] 3%
国立に新たにできるブルワリー、“Kunitachi Brewery”(くにぶる)とのコラボビール。
■あざらしピルスナー(8,800円)[スタイル] ピルスナー [アルコール度数] 5%
ピルスナーモルトとザーツホップのみで仕上げたピルスナー。糖化中の麦芽をもろみごと一部取り出して煮沸し、また糖化窯へ戻す、を2度繰り返し、よりコクのある仕上がりに。

おうちで樽ビール 申込みフォーム

泡の調整が難しい、しかしそれが楽しい

さて、筆者が注文した「Hoppy Juicy Weizen」の5L樽は、注文から数日後に無事到着。到着予定日数日前から買い物を控え、あらかじめ樽スペースを空けておいた冷蔵庫に入れて冷やします。天気のいい日を選んで、ベランダでサーバーを組み立て、ビールを注いで楽しみました。

結論からいうと…、メッチャクチャ楽しい!!! 泡のボリュームをどう調整するか、注ぎに燃える!!

そもそも、ビールを樽から注ぐことそのものが、テンションを異様なまでに上げてくれます。また、ホップとエステルの絡み合う香り、甘味は抑えめで爽やかさとふくよかさを併せ持つ「Hoppy Juicy Weizen」は、心地よい風に吹かれながら飲むのにピッタリで、ついつい杯を重ねてしまうことに。結果、初回だけで樽の半量ほど飲んでしまっていました。

樽扱い初心者にもわかりやすい丁寧なマニュアルが付属

「お家で樽ビール(5ℓ)」には、懇切丁寧にサーバーのつなぎ方がかかれたマニュアルが付属しています。

5L樽、ガスの減圧弁、カプラー、タップとシャンク、ホース、炭酸ガスカートリッジ2本(1本は予備)

実際に注いでみると、泡のボリューム調整にコツが必要なことがわかりました。減圧弁を開放しすぎると泡だらけになりますが、閉めすぎても液体が出てこない。そのせめぎ合いの中で“ちょうどいい”を探すことに夢中になってしまいます。

気温や液体の温度、ビールを注ぐ頻度によっても泡の生じ方が変わる

「直出し式」サーバーを屋外で使うなら、春や秋の気候がちょうどいい

当日の気温は30℃超え。時間が経つほどに樽は徐々に温まり、ビールの温度が上がって泡の量がだいぶ増えてきます。「お家で樽ビール(5ℓ)」のサーバーは樽に直接取り付ける「直出し式」のため、実はあまり気温の上がらない今の季節や春先が、おうちで樽生を楽しむ最強の季節なのでは、とすら思います(夏の屋外は、冷却プレートがサーバー内に備えられた『瞬冷式』の方が向いています)。

外で樽生ビールを楽しんだら、冷蔵庫へ。「ビール飲みたいな〜」と冷蔵庫を開けてグラスに樽からビールを注ぐ、この行為はなかなか新鮮で心掴まれますよ。結局、我が家では飲み出してから3日目ですっかりカラになりました。

リピート率80%以上! モニターの声を頼りにマニュアルを20回以上改訂

「お家で樽ビール(5L)」のきっかけや反響について、安藤祐理子さんに聞きました。

──安藤さんは、コロナ禍で緊急事態宣言が出された際、ご自身で改めて教習所へペーパードライバー教習を受け、ボトルビールとカレーを配達されました。「お家で樽ビール(5L)」はそれが進化した形と言えそうですが、始められたきっかけを教えてください。

左:コロナ禍でいち早く始めた、ボトルビールとカレースパイスの宅配セット。右:丁寧に作り方が書かれたマニュアルにしたがい作ったキーマカレーとアンドビールのIPA

もともと、仲間内でキャンプに行ったときに、ビアサーバーを持っていったらみんなに喜ばれた経験があったので、家庭用に生ビールセットを販売したらお客様に喜ばれるんじゃないか、という発想を持っていました。樽は「秩父麦酒」でバレルエイジビール出荷用に5Lのものを持っていらしたのを見かけて、「小さくてかわいいなぁ」と思ったのです。「お家で樽ビール(5L)」を始めるにあたって30個買い揃えて、サーバーも同数用意しました。

──お花見やイベントなどで樽を注文されることはあるでしょうが、個人宅に業務用の樽を届ける、は斬新な発想ですね。樽の扱いに慣れていない方がほとんどではないですか。

安藤:モニターサービスを開始した当初は、想定外のトラブルがあちこちで勃発しました。一番多かったのは、やはり泡のボリューム関連ですね。泡が出すぎるようなら減圧弁の圧を下げなければならないのですが、逆に圧を上げ続けてしまい、泡しか出ない状態が続いたり。二酸化炭素が出ない、漏れている、ビールが漏れてしまった、などもありましたね。

モニター時期の2ヶ月は、樽を持っていって一緒にセットアップしていました。現地でお客様と一緒にトラブルシューティングできたおかげで、マニュアルが短期間で劇的に改善できたのはよかったと思います。20回程度、改訂を重ねました。

──注文された方からは、どのような反響がありましたか?

安藤:ありがたいことにすごく好評で、リピーター率は体感で80%ほどです! ご夫婦で1週間、ひとり暮らしの男性ですと2週間くらいで5Lを飲んでいらっしゃるようですね。概ね店舗と同じペースでの消費です。このペースでしたら劣化とは無縁なので、ぜひ一度お試しいただきたいです!


キリンビールがビールを家で楽しめるよう提供している専用サーバー「キリンホームタップ」や小樽ビールの5L簡易樽に比べ、アンドビールの「お家で樽ビール(5L)」の樽は店舗で使っているタップの延長線上なので、初めはちょっと扱いに難しさを感じるかもしれません。しかし、ブルワリーでできたてのビールをタンクから直接詰めた、その美味しさは折り紙付き。季節ごとに変わるアンドビールの自慢の逸品を、“おうちビアパブ”気分でオンライン飲み会やベランピング、おうち忘年会のお供にしてみませんか。