【ドラフト】12球団の指名を採点 補強ポイントに合致する楽天、独自路線のソフトバンク

近大・佐藤輝明、早大・早川隆久、中京大中京・高橋宏斗(左から)【写真:宮脇広久、編集部、福岡吉央】

早川を引き当てただけでなく即戦力投手を3人指名した楽天

2020年の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」は26日、都内のホテルで開催され、支配下で74選手、育成で49選手の計123選手が指名された。

最多は矢野燿大監督が目玉だった近大・佐藤輝明内野手を引き当てた阪神で8選手。巨人と西武の7選手がこれに続き、最も少なかったのはソフトバンクとロッテの5選手。育成ドラフトでは巨人が史上最多となる12選手を指名した。

全123選手が指名を受けた今ドラフト。ここでは各球団のドラフト指名選手を検証し、補強ポイントと合わせて採点してみたい。

高く評価できるのは楽天、オリックス、広島か。4球団競合の末に早川を引き当てた楽天は、2位で法大の高田孝一投手、3位ではドラ1候補の呼び声もあったENEOSの藤井聖投手と即戦力投手を指名。今季はリーグトップの打撃成績をあげながらも、投手陣が奮わず、補強ポイントを的確に補う指名となった印象だ。

オリックスは競合で佐藤を外し、1巡目で福岡大大濠の山下舜平大投手を指名。2位で中京の元謙太外野手、3位で明石商の来田涼斗外野手と高校生を相次いで指名し、将来性を重視した内容に。現状の戦力では即戦力を欲しいところだが、近年の指名に倣うように将来性を重視した印象で、一貫した方向性は評価できるのではないか。

DeNAは即戦力の投手と野手、将来性重視の高校生とバランスの良い指名に

広島はトヨタ自動車の栗林良吏投手を一本釣り。2位以下でも天理大の森浦大輔投手、八戸学院大の大道温貴投手と即戦力候補を相次いで指名し、課題の投手力強化を図った。

この3球団に続くのが中日、DeNAあたりか。DeNAは近年、左投手の指名が多い中で、右の好投手である明大・入江大生投手を一本釣り。2位で強打の内野手である中大・牧秀悟も加え、3位では地元・横浜高の松本隆之介投手、4位で履正社の小深田大地内野手と好素材を指名し、バランスのいい指名となった。

中日は地元の星である中京大中京の高橋宏斗投手を一本釣り。2位で即戦力の日体大の森博人投手を指名し、3位以下は根尾昂内野手や石川昂弥内野手と共に将来のチームを担うべき高校生を加えた。

ソフトバンクは他球団と一線を画す独自の戦略に打って出た印象だ。佐藤を外すと、1位で花咲徳栄の井上朋也を指名。松田宣ら内野手の高齢化が目立つことから、徹底して強打の内野手の指名に徹した。2位で横浜商の笹川吉康外野手を指名するなど、5選手全員が高校生。来季を見据えたものではなく、3年後、5年後を考えた将来性重視の指名だ。

阪神は打線強化、巨人は先発投手の補強ポイントを補えたか?

日本ハムは1位で苫小牧駒大の伊藤大海投手を一本釣り。球団で初となる“道産子ドラ1”を指名すると、5位では苫小牧中央・根本悠楓投手、6位でJFE東日本の今川優馬外野手と北海道出身選手を3人指名。中大の五十幡亮汰外野手、智弁和歌山の細川凌平外野手と将来を見据えて外野手も補った。

ロッテは地元の星の早川を外し、法大の鈴木昭汰投手を1位に。2位では明石商の中森俊介投手を指名した。ただ、今季得点力不足に苦しんだ点を考えると、補うべきポイントを押さえられたかどうか。ヤクルトは早川、鈴木と相次いで外し、1位は慶大の木澤尚文投手に。2位でも東北福祉大の山野太一投手と即戦力を指名したが、やや物足りない印象だ。

阪神は4球団競合の末に佐藤の獲得に成功。2位でJR東日本の伊藤将司投手、3位で佐藤蓮投手を指名した。ただ、球団にとって最大のポイントは得点力不足の打線強化。佐藤でそれを補えたと言えるだろうか。西武は早川を外して1位で桐蔭横浜大の渡部健人内野手を指名。2位でNTT東日本の佐々木健投手を指名したが、補強ポイントであるはずの投手を強化できたとは言い難い。

巨人は1位で亜大の平内龍太投手は好投手ながら、リリーフ向きという声もある。2位ではトミー・ジョン手術明けの山崎伊織投手を指名した。ただ、巨人にとって最も不足しているのは菅野智之、戸郷翔征に続く先発投手。平内の起用法にもよるが、その点で言えば、やや物足りない指名になった。

ドラフトの成果が本当に形となって表れるのは5年後、10年後になってから。この時に数多くの選手が球界を代表する選手となっていることを大いに期待したい。(Full-Count編集部)

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