ウォーレン・バフェットに学ぶ、株を買う前に考えるべきこと

株式投資をしていると、「投資あるある」とも言えるよくある話の一つに、株が上昇していると世間は騒いでいるのに、自分の保有株はいっこうに上がらないということがよくあります。そして、どちらを買おうか悩んだ結果、買わなかった方の銘柄が大きく上昇するというということも多くあります。

今回は、このような失敗を防ぐための一つのやり方をお伝えしたいと思います。


「明日も上がるだろう」と買うと下がる

株式市場で「株が高い」とか「安い」とかいう場合、日経平均やダウ平均といった株価指数の動きを示す場合がほとんどです。ただ、日経平均は東京証券取引所で取引できる「株式」4,000銘柄のうち、たった225銘柄の株価を基に算出した数値ですし、米国のニューヨークダウ平均はさらに少なく、30銘柄の株価で計算した指数に過ぎません。

ですから、普通に「今日は株が高いね!」という話をしても、もちろん安い株もあれば、高い株もあります。そして、投資を始めてみると気が付くのが、この株価指数と実際に自分で保有する株との株価の違いです。株式投資を始めたばかりの時は、往々にして株価が上昇している銘柄がさらに上昇するだろうと思い、下がっているものは明日も明後日も下がるのではないかと捉えてしまいます。

ただ、実際に「明日も上がるだろう」と思って買うと、自分が買ったところから下がり始めるということも多いもの。さらに言えば、どちらの株を買おうか悩んだあげく、買った方が下がり、買わなかった方が大きく上昇するということもよくある話です。

ついとってしまう愚かな行動

挙句の果てに、買った後の下がってしまった株を売って、買わなかった方の株を慌てて買うという行動に走ってしまいます。そうなると相場の神様は意地悪ですから、今度は売った株が上昇して買った株が下がるということになるのです。

最近ではSNSなどを通じて自分の買った株が上がったと自慢する人たちも多く、自分だけが取り残されるという気にさせられます。その結果、さらに焦り、SNSなどで吹聴された銘柄に飛び乗って、結局はこれもまた自分が買ったところが高値ということになってしまうのです。

まずは資金配分

このような失敗を防ぐには、いい意味で他人を気にしないことが大切です。さらに、他人を気にせずに済む方法の一つが、資金配分をきっちりと決めておくということです。

上がるだろうと思って株を買うわけですから、全資金をつぎ込むということもあるかもしれません。ただ、必ず上がるということはないわけですから、一度に全資金をつぎ込むことは避けるべきなのです。

もちろん、その前に株式投資に振り向ける資金をどの程度にするのか、ということも考えなければなりません。ほしい株があるから買うのではなく、自分の身の丈にあった投資を心掛けることが必要です。

ウォーレン・バフェットの買い方

では、株式投資に振り向けた資金をどのように使うと失敗しないのでしょうか。先ほど述べたように、どちらの株式にしようかと考えた場合、投資に振り向けた資金を分散して買うという手があります。また、買おうとしたものが上がってしまったら、100株しか買わず、下がった株は200株買うというように、買い方を変えるということも必要かもしれません。

見ていた株が上昇したから慌てて買うということでなく、買い場を待つということも必要ですし、打診買いといって、少量だけ買ってみるということも有効な場合があります。

先般、日本の商社株を大量に買い進めていると騒がれた著名投資家のウォーレン・バフェット氏の買い方は参考になります。彼は、買うとなったら徹底的に買うことで有名です。

際限なく資金が使えそうに見えますが、どういう水準でどの程度買うのかという資金配分を決めてから投資を行っています。とにかく何株を買うというやり方でなく、あくまでも株価の水準などを考えながら投資を行っているのです。

そんなに分散して投資をするだけのお金がないという場合でも、少ないなら少ないなりに、多いなら多いなりに、お金の出し方や使い方を考える必要があります。そして、そのためには投資の期間や期待リターンもはっきりとさせることが必要です。「とにかく上がりそう」ということだけで飛びつくことを繰り返していると、1度や2度は成功しますが、結局は失敗の方が多くなるでしょう。

投資は当てものではない

私も証券会社に入った当初は、上がっている株がいつまでも上がると思って買っていたような面もあります。当時はバブル相場の始まりの時期だったので、それこそ何を買っても上がりました。

それだけに自分が買った株よりも、ほかの株が大きく上昇したりするとかなり悔しい思いをしました。しかし、結局はバタバタと売り買いを繰り返すよりは、しっかりと上昇する銘柄に資金を配分するほうが利益を出すことができました。

株式投資をしていると、とにかく上がる株、下がる株をみつけることだけに主眼を置きがちです。しかし、投資で成功するにはそうした銘柄を「当てる」ことではなく、どれだけ上がる株に資金を振り向けられたか、ということに尽きると思います。上がる株も下がる株もたくさんあります。慌てることはなく、周りに流されず、資金配分を考えるといいでしょう。

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