IDC、国内ITシステムのリモート開発実施企業の48%が生産性低下と発表、課題はコミュニケーション不足

IDC Japan株式会社は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック下における国内企業のITシステムの開発体制に関する調査を行った。同調査は企業のITシステム部門の開発の管理者と担当者を対象に2020年8月にアンケート調査を実施し、435社から有効回答を得ている。同調査によると、COVID-19による緊急事態宣言期間中(2020年4月7日~5月25日)に、在宅勤務に切り替えてフルリモート開発を行った企業は34.9%であった。また、出社日数を減らし在宅からのリモート開発とオフィスでの開発を併用していた企業は25.7%であり、約60%の企業が在宅からのリモート開発を実施していた。緊急事態宣言解除後は、在宅からのフルリモート開発を行っている企業が22.5%、リモート開発とオフィスでの開発を併用している企業が31.5%となり、COVID-19感染拡大前と同じように通常通りの体制で開発を行っている企業は23.4%となっている。更にリモート開発を実施している企業に対して、COVID-19感染拡大前の通常の体制による開発と感染拡大後のリモート開発による開発生産性についての質問を行ったところ、在宅によるフルリモート開発を実施した企業では、48.8%が感染拡大前よりも開発生産性が低下したと回答。そのうち25%以上低下した企業は16.7%となっている。一方、リモート開発とオフィスでの開発を併用している企業では63.9%が感染拡大前よりも開発生産性が低下したと回答。そのうち25%以上低下した企業は26.2%となっている。上記より、フルリモート開発よりもオフィスへの出社と併用したリモート開発の方が生産性が低下しているという結果となった。在宅によるリモート開発の課題についての回答では、エンジニア間のコミュニケーション不足による進捗の遅れ、各エンジニアの進捗やタスクの状況の把握のしづらさ、要件定義/設計/変更などの調整の難しさが高い回答率となっている。IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのグループマネージャーである入谷光浩氏は「リモート開発による開発生産性を向上させるためには、細かい調整までできるコミュニケーション環境と進捗やタスクの共有環境の整備が必須である。また、週に数回の出社を義務付けるなどの中途半端なリモート開発体制にすると逆に開発生産性の低下を招く恐れがあるので注意する必要がある」と述べる。

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